いつの頃からか、『北欧』の虜になってしまった私である。
ブログ村のランキングを見ていて「へぇ、インテリアとかあるんだ」と思って、ヨソ様のオサレインテリアブログを覗いてしまったのがすべての始まりであった。
それから
「北欧!北欧!」
とか、
「ウニッコ!ウニッコ!」
とか、
「イイーッタラ!イイーッタラ!(←正式な発音のつもり)」
とか、
妙な鳴き声をたてる残念な大人になるまで、さほど時間はかからなかった。
しかし『北欧』には問題点が1つある。とにかく何でも高いのだ。
食器類はどう転んでも2,000円以上するし、布も3,000円/m以下のモノはほとんどない。
先日「あ、カワイイ」と思って手に取った布が12,000円/mだったときには、さすがに一瞬目の前が暗くなった。
そんな北欧ファンの庶民の心を癒してくれるオアシス、それがIKEAである。
IKEAは、スウェーデンの大規模な家具・雑貨店である。世界中に支店がある。
安価でありながら、北欧ならではの素敵デザインが施された商品は他に類を見ないのである。
しかし関西には店舗がなく、今までは関東在住のヨソ様のオサレインテリアブログを歯ぎしりしながら眺めていただけであった。
ところが先日、ついに関西初のIKEAが神戸ポートアイランドにオープンしたのである。
この情報をキャッチしてからというもの、鳴き声に新たに
「イケア!イケア!」
が加わったことはいうまでもない。まあとにかくオープンの日をとても心待ちにしていたわけである。
しかしIKEAは大変な人気店である。ものすごく、ほんとうにものすごく混雑するという。
関東在住のヨソ様たちも、オープン後しばらくは近寄れなかったという方がほとんどである。
なのでしばらくは行けないと勝手にあきらめていたのだが、ある日会社から戻った夫が誇らしげにこう言った。
「月曜日、休みとったから!」
果敢にも、彼はオープン初日にIKEAに突撃するつもりらしかった。もう探検家の心意気である。
私があんまり
「イケア!イケア!」
と鳴くものだから、どうも夫にまでその熱が感染してしまったようだ。
突撃宣言の後、夫は熱心にIKEAの下調べを始めた。
そんな夫を見て、私のパッションはどういうわけかスルスルと小さくなっていった。
それは一緒に飲みに行った相手に先にベロベロに酔われてしまったときの気持ちに似ていた。
そんなとき、人は案外酔えないものなのだ(←どうでもいい情報)。
ところで結果的に見れば、オープン初日という未曾有の混乱にもかかわらず、私たちはほんとうにたっぷりとイケアを楽しむことができた。
それなりに反省点も残ったが、突撃は概ね成功した、と思う。
それもこれも気合と下準備の賜物である。
というわけでここからはレポートらしく、成功点と反省点について書いていこうと思う(←前フリ長すぎ)。
1.早起きは三文の得
IKEAで成功するコツ、それはなによりも早起きにある。
ハルさんためには起きられない私たちも、IKEAのためなら起きられる(←勝手)。
IKEAは10時オープン、私たちが到着したのは9時45分であった。
もちろんすでにそれなりの行列ができていた。
が、思っていたほどではない。
オープニングイベントとしてテープカットならぬ丸太切りがあるというウワサだったが、それが行われた様子もなく、並んですぐに列がグングン動き出し、不安になるほどアッサリ中に入ることができた。
ブラスバンドの明るい音楽とスタッフの手拍子に迎えられ、巨大な黄色いバッグを持って売り場へ向かう。
いやがおうでもテンションは上がる――。
後で聞いた話によると、オープン直後から11時くらいまでは比較的空いていたらしい。
たしかにオープン直後は駐車場にもまだ空きがあり、ウワサの「イケア渋滞」はカケラも感じられなかった。
しかし昼前から次々と人がなだれ込んできて、昼にはすでに入場制限のアナウンスが流れていた。3時間待ちだと言う(シェー)。
見ると入場待ちの列は一向に進む様子がなく、外で待っている人は相当な忍耐を強いられたに違いない。
2.郷に入りては郷に従え
IKEAは他の店とはいろいろとシステムが異なる。
「自分のことは自分でする」がIKEAの大前提である。
そういうIKEA独自のシステムを行く前にきちんと把握しておくと、店に入ってからの動きが随分と滑らかになる。
たとえば順路として、まずは2Fに行くことになるが、そこではインテリアとして商品がディスプレイされている。
しかしそこから商品をカゴに入れるのではなく、気に入った商品をメモし、あとで1Fで実物をゲットするのだ。
そのための鉛筆とメモ帳、メジャーがあちこちにあるので、2Fにあがったらまずはそれを手に入れる。
ただしコレはどちらかというと家具などオオモノを購入する人向けで、布だの植木鉢だのコモノ狙いの人にはあまり必要がないように思う。
私たちも最初こそ張り切ってメモしていたが、そのうち書くのが面倒になり、1Fに降りてからは結局一度もメモを見なかった。
それから、これは布を買う人限定の話だが、布は自分で裁断する。
裁断台があるので、そこで好きな分だけ裁断すればよい。
巻いてある布は、それぞれにとても重いけれどがんばって台まで運ぶ。
台に溝が走っているので、そこにハサミを合わせると、うまくまっすぐ切ることができる。
その後、切った布を裁断台横にある計りに乗せ、 やはり裁断台に置いてある布カタログから切った布のバーコードを読み取らせると、値段の付いたバーコードシールが出てくる。それを布に貼り付けて、カゴに入れる。
裁断台は思いのほか少ないので、混み合うと非常にストレスなのだ。
できればみんながサクサクと作業したほうが良いのである。
3.急いては事をし損じる
とにかくたくさんの人がいて、たくさんの商品が山積みされているので、店に入って10分もすると、理性が吹っ飛び、何がなんだかわからなくなる。
欲しいモノが何だったのか、今、手に取っているモノは欲しいものなのか、今どこにいて、これからどこへ向かえばいいのか。
しかしそんな迷える子羊のために、イケアには「やっぱやめた」システム(←勝手に命名)がある。
つまりレジの直前に「やっぱやめた」とモノを返却できるのだ。
たくさんの人が蠢く広大な店内で、一度取り損ねたモノを取りに戻るのは至難のワザである。
ワタクシのように方向音痴スキルをもつ人ならなおさらだ。なので、迷った商品はとりあえずカゴに入れる。
どのみちレジではガッツリ並ばなくてはならないし、考える時間はいくらでもある。
と、思っていたし、実際その通りに動いたのだが、ここで誤算がいくつか発生する。
ひとつはレジの列が思いのほか長かったことだ。
レジエリア→セルフサービスエリア→ホームデコレーションエリア→ウォールデコレーションエリア→照明エリアまで延びた、そして今も延び続ける行列に、すっかり度肝を抜かれてしまった。
ここでウッカリ「あとのエリアは並びながら買い物できるやーん」と思ってしまったのが失敗であった。
途中何度も「スタッフはとにかくレジへ集まれ!」的なスクランブルがアナウンスで流れていたのは知っていたが、そのせいか照明エリアを過ぎたあたりから急に列が進みだした。
私たちの主な目的は雑貨である。
ホームデコレーションエリアとウォールデコレーションエリアはとりわけ時間をかけて見ておきたい場所であった。
しかし結局レジに到達するまでは1時間弱であった。すべてのエリアを夫と交互に見て回るには、あまりにも時間が足りない。
列はグングン進んでいく。売り場から戻る頃には相方の姿を見失うほどだ。
「どうしよう夫……ホームデコレーションエリアほとんど見れへんかった……あぁ、もうダメ、もうダメ……」
すっかり気弱になる妻を励ます夫。
「しっかり妻!まだセルフサービスエリアだから!悔いのないように最後まで羽ばたいておいで……!!」
そういわれてホームデコレーションエリアを駆け回ってきたのだが、やはり根っからの小心者であるため、 何を見たのかロクに覚えておらず、持ってきたブツといえば、小さな花瓶ひとつであった。
ちなみに夫はその持ち前の大らかさを遺憾なく発揮し、謎のクッションやら謎のブリキ缶やらオオモノを色々と抱えてきた。
しかしレジ前ではその大半を返却していたので、夫も少し混乱していたのかもしれない。
そしてまさにレジが目前というところになって、さらなる事実に愕然とする。
レジ前にもところ狭しと商品が並べられているのだ。しかも今まで通過したフロアには無かったものばかりである。
そのうえ、各レジ前ごとに置いてある商品が違う。
レジは30もあるのだ。これではこのエリアをほとんど見ないまま通過してしまうことになる。
というわけで、夫にカートを託して必死の横移動を開始する。
前回(花瓶)の反省を活かして、今度は素敵バッグを3つ引っつかんで駆け戻る。
そしてそのままレジを通してしまったのだが、ちゃんと値札と確認しなかったため、3つのうちひとつが思いのほか高額であったことにションボリする。
あとのオオモノ(←謎のクッション等)は無事返したのだが、このバッグだけはしくじった感が残った。
ちなみにウワサで聞いていた「やっぱやめた」箱は、レジにたどり着くまで見つからなかった。
結局、ムリヤリレジの人に押し付ける形になってしまったのだが、「やっぱやめた」箱はポートアイランド店にはないのだろうか。
と、ここまで書いてきても、まだ語るべきは終わらない。
一体どうしたらいいのか。もう疲れた……。
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そして、IKEAについてはまだまだ書き足りないことがあるので、続きは夫にまかせようと思います。(←他人任せ)
IKEAレポートの続編が気になる方はこちらにも
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