だんだん雲行きが怪しくなってくるが、そこは夫が持ち前の晴れ男っぷりを発揮してそれなりに持ちこたえてくれるだろうとタカをくくる(←楽観的)。
ということで海沿いの道を走り、MAREというカフェに入る。
この店は抜群のロケーションにあり、雰囲気も開放的でどこか南のリゾートのようだ。
こちらはテラス席のみワンコOKである。店の方がテーブルを運んでくれた。
テラス席の床はまだ濡れている。先ほどまで雨が降っていたようである。

夫の天気男力はたいしたものだ。
彼の周囲は常に気圧が高いのかもしれない。
賛嘆と敬意を込めて
「ミスタ・ヘクトパスカル?」
と呼んでみたが、
夫はイヤそうな顔で、カメラを持って景色の撮影に行ってしまった。
ハルさんが「ボボやボボや」としつこく呼ばれて、玄関のほうへ立ち去る時の表情に似ていた。

ここはとにかく眺めが素晴らしい。
ウッドデッキが組まれた南国リゾート的テラス席からは台風直下の日本海の荒波が見える。

遠くには松の木が見え、振り返ると断崖がある。

オホーツク海に水上コテージが浮いているような、なんともいえない複雑な様相ではあるが、海から吹く風は心地よく、ケーキを食べて暖かいコーヒーを飲んでいると、とても穏やかな気持ちになる。

その後、本日の宿へ到着する。
意外にもMAREから数百メートルのところにあり、目的地を入力した途端、カーナビが「ルートガイドをを終了します」と言った。
こちらは純和風のお宿である。
ワンコ歓迎というわけではなく、基本的なしつけができていればまあ一緒でもいいですよ、というスタンスらしい。
そのわりには、だいたいの場所に犬を連れて行くことができたりする。食事も一緒に取ることができる。
まあ平日で宿泊客が私たちだけだったからかもしれない。そこのところはよくわからない。

食事の部屋では、ハルさんはカフェマット(的なバスタオル)の上に係留される。ヨダレ防止のためである。
人が食べているのを見ても、別にヨダレは出ないのだが、ウロウロされても困るのでまあ一応つないでおく。

まずは日本酒が運ばれてくる。
いきなり有無をいわさず日本酒が運ばれてくるとは、なかなか珍しいお宿だと思っていると、
「こちらの日本酒付コースはお得なんですよ。
このお酒、なかなか手に入らない代物ですしね」

と女将さんが言うではないか。
「ぅえっ!?」
動揺して変な声が出てしまった。
アンタどういうことですのん高いんちゃいますのんコレ!?
と夫を見ると、
「付け足してみました(テヘ)」
という答えが笑顔とともに帰ってきた。
旅行計画はいつも夫に任せて(丸投げして)いるので、文句を言える筋合いではない。
が、会計時にとても焦るので、できれば事前に知らせておいて欲しいと思う。

それにしてもこの日本酒と前菜たちのハーモニーといったらなかった。
口内でこれほどの調和が起こるなど、そうそうあることではない。
塩で日本酒を飲む人がいるというが、塩分と日本酒は切っても切れない関係にあるというのは本当だ、としみじみ思う。
あまりのことにクイクイと日本酒を飲んでしまう。旅行一日目から、危険な兆候であった。

途中でハルさんのジト目(どんだけ飲むねん)に気がつかなければ、初日で旅行を台無しにしてしまうところであった。
その後は我に返ってビールを飲み(←ほんとうに我に返ったのかという質問は現在受け付けておりません)、新鮮な海の幸を存分に堪能して、幸せな眠りに落ちる。
夜の間はずっと雨が降っていた。
さすがの夫も、寝ている間は気圧を上げる機能が止まるようである。
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