2008年01月27日

トライアル−前編−(M)

ハルさんのお泊りはいつもかかりつけの動物病院と決まっている。

一般のペットホテルよりは少々お高いが、かかりつけの先生がすぐ傍にいてくれるという安心感は大きい。
しかし、やはりそこは病院であってホテルではないので、基本はケージの中、ときどき裏の庭に少し出してもらう、という生活パターンになる。
行動範囲も運動量も普段より少なくなってしまうのは避けられない。
それでも昔は病院の看板犬、バセットハウンドのアニーと遊んで鬱憤を晴らしていたようだが、そのアニーも今ではハルさんのほぼ2倍の大きさになり、あまり遊べなくなってしまった(←病院スタッフさん談)。

チキンドッグです

そんなとき、知り合いの方からTDSPという施設を教えていただく。

TDSPはペットホテル・トリミング・しつけ教室・ドッグカフェなどを備えた犬の総合施設である。
なにより特徴的なのは、そこで基本的に他の犬と一緒に過ごす、ということだ。
だから預かってもらっている間も、他のワンコと一緒にドッグランで走り回ったりすることができるのである。

飼い主のいない不安な時間を静かに過ごしたいタイプのワンコもいるので、向き不向きがあるだろうが、ドッグランではそれなりの異名(自称)を持っていたハルさんには向いている場所のように思えた。

狩られ屋本舗

近々ハルさんにお泊りしてもらう予定もあるし、春になればまたあの恐ろしい抜け毛祭りが始まって家でシャンプーができなくなるし、今のうちにTDSPを利用してみることにしたのである。

ところでTDSPでは、会員になるまえに「お試しお預かり」という試練(?)がある。
集団で過ごすことが基本となるので、攻撃性や、ストレスで参ってしまう危険性がないか事前に確認するのだ。これをクリアしないと会員にはなれない。なかなかしっかりした施設なのである。
ちなみにハルさんは、気は強いが積極的に攻めるタイプではない。
攻撃性という意味ではまあ大丈夫だと思う。

問題はストレスの方であった。

実はハルさん、飼い主に負けず劣らず、結構な分離不安なのである。
「飼い主が立ち去る」という行為にとても弱いのだ。

飼い主探し中

ドッグランでも飼い主の片方がトイレにでも行こうものなら途端にシオシオとテンションが下がる。そうなるといくら他の犬が遊びに誘ってくれてもランの隅でテコでも動かない。
さっきまでゴキゲンに遊んでいたワンコにさえ、しつこく誘われるとシーッと猫のように怒り出す(←吠えると叱られるため)。
2人とも立ち去るとさらにダメで、ヒュンヒュン鳴いて動かなくなり、もうタイヘンなのだそうだ(←実家の母親談)。

幼い頃から飼い主の絶対性を骨の髄まで染み込ませてきたことが、仇になっていた。
飼い主が絶対であることと飼い主がいなくても強くあること、この2つはどうしたって矛盾している。
絶対君主がいなくなれば不安を感じるのは、当然のことなのである。しかし飼い主のいないところでふんぞりかえるような犬にはなって欲しくない。
それはどうにもならないジレンマであった。

絶対服従ポーズ(叱られているともいう)

しかしまぁ何事も慣れというものがある。
最初はダメでも徐々にその環境に慣れてくれれば良いのだ。
そのためにも、とにかく「お試しお預かり」をクリアしなくてはならない。
だから、テンションはだだ下がりだろうが、愛想も悪かろうが、とにかく他のワンコと揉めず、体調も崩さなければ御の字だと、飼い主夫婦は思っていた。
とはいえ飼い主のいないところでハルさんが知らないワンコと一緒に過ごすなど今まで経験がない。
大丈夫だろうと思いつつも、不安は抑えきれなかったのである。

能天気な犬

さて当日。

まるでハルさんの先行きを暗示するかのように、空には暗い雲が立ち込め、夫は二日酔いであった(←え)。
それでも試練には立ち向かわなくてはならない。
車を飛ばしてTDSPに向かう。片道1時間弱の道のりである。
到着する頃には雪がちらほら舞い始める。指先は凍りそうに冷たい。おまけになぜか建物が薄暗い。

TDSPは、停電していた(シェー)。

この不穏な空気を察知したのかハルさんは建物の中へ入ろうとしない。

スタートからもうだいぶん不吉な感じであった。

ヤな予感

つづく。

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書いているうちにあまりに長くなったので、次回へ続きます。
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posted by 飼い主YとM at 22:42| 兵庫 ☁| Comment(7) | TrackBack(0) | 日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
不安…。めっちゃ不安な展開…。
ハルさんの運命や如何に!?
続きが激しく気になります。
Posted by かおりん at 2008年01月28日 00:24
TDSP・・・このような施設、初めて知りました!有馬温泉に行く時に茶麻呂を人に預けて行ってきたのですが、こんな素敵な所が近くにあるなら次回から是非利用してみたいです。情報ありがとうございます!
 ハルさん、試練を乗り越えることができるのか・・・・不安げな写真を裏切る結果を期待してます(*^-^*)

追記:コメントと、承認くださるとの件、ありがとうございました。
Posted by みゅう@茶麻呂といっしょ at 2008年01月28日 04:04
ココは!!私も目を付けていました(*^_^*)
ワンコの幼稚園ですよね。
カフェやランもあるし、近々行ってみようか〜と夫といっていた所だったのでタイムリーでした!!
是非どんな感じだったか教えて頂きたいです♪
お留守番中は庭で元気に遊べるのがいいですよね〜(*^_^*)
でもウチからでも結構遠いですよ。
ちょうどウチとハル家との中間ぐらいな気がします。
Posted by at 2008年01月28日 07:58
うちはシュシュが来てから今まで、5年間…
一度もホテルに預けたことがないので…私もシュシュも分離不安の可能性は高い…(特に私)
まあ、自分が寂しいから、シュシュもきっとそうだと思ってるだけで、本犬は何気にホームステイを楽しむかもしれませんけどね…(ちょっと寂しい)
でも、ホテルってほんとにほぼゲージの中に入れっぱなしというイメージがあるので、そんなドッグランに放してくれる様なところっていいですね〜
でも、うちの子は攻撃的なのできっと試験にパスすることは出来ないだろうな…


Posted by karu at 2008年01月29日 02:45
はじめまして、「雪だるま」です。
  私の家でもコーギーを飼っています。
  今、任天堂のwiiからコメントを書いています。
  ハルさんカワイイですね(●^■^●)
Posted by 雪だるま at 2008年01月29日 20:38
お泊りですか・・・

実は我が家ももうじきいねを1週間ほど獣医さんに預けなくてはならないかもしれないので、興味深く読ませていただきました。

破流さんは倭威&絵夢命なのですね。
(何故か漢字を当てたくなりました)

色々ご心配な点もあるようですけど、ちょっと羨ましいです・・・。
うちのは飼い主が居なくなっても3秒で新しい「保護者」を見つけ、嬉々とする子なので・・・。
お預けの度に「わたくしという飼い主の存在の意義」について真剣に考えたくなります。

ハルさんお預け記後半、楽しみにしております。
Posted by nau at 2008年01月30日 00:21
■■かおりんさん
何もかも終わってこうして記事を書いていると、
いかに最初からいろいろダメだったかがわかります。
そして最後まて書ききって、またちょっと疲弊しました。
まあでも「お試しお預かり」で断られなかったことが
唯一の救いです〜。

■■みゅう@茶麻呂といっしょさん
そうなんですよ〜。
私も教えていただくまで全然知らなかったんですが、
世の中にはホントいろんな施設があるものですね。
ワンコの世界も奥が深いです。

■■福さん
そうですね〜。
活動的なコギさんたちには、わりと向いている施設だと思います。
確かにちょっと遠いのが難点ですが、
留守番中も楽しく過ごしてくれるなら、
それに越したことはありませんよね〜。
カフェの方は利用したことがないのですが、
そのうちまた行ってみようと思っています。

■■karuさん
5年間一度もない……それは結構すごいことかも、と
思うんですがどうでしょう。
たしかにどこのペットホテルでも広さの差こそあれ
基本はケージ内というのが殆どですよね。
ただTDSPの方がいうにはそっちの方が
落ち着くワンコもいるのだとか。
シュシュくんはどっちでしょうね……個人的に興味あります。

■■雪だるまさん
初めまして!コメントありがとうございます。
Wiiからそんなことができてしまうのですね。
夫と二人でびっくりしていました。
なんかもうドラえもんの道具的なミラクルを感じます。

■■nauさん
ハルさんも若いころは割と何でもポジティブに物事を捉えていたので
飼い主がいなくてここまで不安がることはありませんでした。
わりと最近ですね、こんなに弱気になったのは。
倭威&絵夢……漢字ばっちり当てていただきありがとうございます!
絵夢……夢見る少女の心を残すワタクシにはぴったり(←え)。
Posted by 飼い主M at 2008年01月31日 23:18
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