
そんなこんなで楽しく(?)遊んでいたハルさんたち。
お昼も食べて(人が)、もう少し先へ進もうかと歩き出した途端、事件は起きた。

「イタッ」という声が聞こえた。
先を歩いていたリンくんの飼い主さん、トモさんの声のようだ。
見るとトモさんのいるあたりの地面から何匹もハチが沸き出ている。
なんということか、ハチに刺されたのだ。
さらに悪いことに、ハルさんがまさにその場所を通過しようとしていた。
大好きなトモさんに追いすがり、ロングリードいっぱいまで出張っていたのだ。
引き戻そうとするが、慌てているせいかロングリードがうまく撒き戻らない。
それでも必死の呼び戻しに応じて戻ってきてくれる。
しかし
「えー、今呼んだー?」

と、緊張感のまるでない笑顔で、テチテチ歩いている。
ゥラー!ハル!キリキリ歩かんかー!ていうか走れー!!
と叫びたかったが、ハチを刺激するのが怖くて言えなかった。
そんなハルさんの尻あたりに、ハチがたかっているのが見えた。
今思い出しても恐ろしい光景である。
このとき私は
赤い服がダメなんだ、ハチがイラッとするんだ、
嗚呼どうしてもっと自然に近い色を着せて来なんだ、
でも自然に近い色って何、緑か青かやっぱりラ(裸)か?
と現実逃避していた(←ダメなやつ)。
ちなみにハチの攻撃色は黒だ。赤は牛である。

しかしハルさんにハチがたかっていたのは事実である。
戻ってきた後、まんべんなく体をチェックする。
しかし、とくにおかしなところは見つけられなかった。
本犬も至って元気そうだ。

「まあ大丈夫ちゃう?ハル、こう見えても犬やし」
「野山で暮らしてたら、ハチに刺されたくらいでどうかなるわけにもいかんやろし」
しかし残念ながら人間は野山で暮らす生き物ではないので、とりあえずリン君の飼い主さんたちは近くの病院へ、私たちは一足先に家に戻ることになった。
(実はリン君の飼い主さんはお二人とも刺されていた)
しかしここで問題が発生した。
リンくんを連れて病院へは行けない。まだ暑い日中、車のなかに置いておくわけにもいかない。
そんなわけで、私たちが連れ帰ることになった。
それほど面識があるとは言い難い怪しげな人間2人と、さほど面識のない奇怪な犬1匹と一緒に、まったく面識のない謎の部屋に連れ込まれたリンくんは、最初こそ部屋に充満するハル臭にピリピリした様子を見せていたが、やがて
「ええか、ちょっとくらいケツ毛伸びても」
と腹をくくったらしく、怪しげな人間たちとも遊んでくれるようになった。
「撫でてください」
とでも言わんばかりに、ゴロンとお腹を出して寄り添ってくる。かわいい。

念のため、当初は隔離されていたハルさん(←もちろんジリジリしていた)を解放しても、

特に何事も起きることなく、2匹ともそのうちウトウトし始めた。
やはり犬たちも疲れていたようである。
それにしてもリンくん、怒りもせず拗ねもせず、びっくりするほど適応力があってものわかりのいいワンコである。飼い主さんたちの日々の躾が行き届いているのであろう。

その後、飼い主さんたちが戻ってきて、リンくんはとても元気になった。
私たちといるときも、シオシオしていたわけではないが、やはり飼い主さんが一緒だとなんというかこう「ケツ毛なんか伸ばすかよ」的なオーラが漲っている。
やはりさびしかったし不安だったのだろう。
飼い主さんたちの傷も、ひとまず大丈夫ということで、本当によかった。
しかしこの川辺の試練(←というかもはや事故)はまだ終わりではなかった。
川から帰って数時間後、突然ハルさんが足を引き摺りだしたのだ。
ついさっきまで普通にウロウロ歩き回っていたのに、である。
しばらく様子を見てみるが、一向に普通に歩く気配がない。
見た感じとくにおかしなところはないが、もし骨や関節を負傷していたらと思うと下手に触れない。
今日は川で大暴れしてきたのだ。思い当たる節ならいくらでもあった。

慌てて病院に連れて行く。待合室でじっと待つ。
さすがにこのときは2人ともかなりピリピリしていた(と思う)。
じっとしていると悪い想像ばかりが頭を回り、それでも口に出すのは恐ろしく、また言っても仕方がないので、結局は黙って座っているしかない。
たいしたことないだろうと思ってみるけれども、たいしたこともないのに足を引き摺る理由が思いつかない。
同じように待合室にいた、病院嫌いの柴犬の気持ちを、これほど身近に感じたことはなかった。できることなら私も一緒に耳と尻尾を極限まで下げ、歯茎を剥き出して低くうなり続けたい心持であった。
こんなとき、飼い主はなんと無力なのだろう。
病院へ駆け込む以外、何もできないのだ。
ひどく長く感じた待ち時間を経て(←実際にはいつもと変わらなかっただろうが)、ようやく診察室に入る。
いっそ気のせいであって欲しかったが、ハルさんはやはりここでも足を引き摺っていた。
「結構、引き摺ってますねー」
言いながら、先生は足を伸ばしたり曲げたり回したり色々と診てくれる。
「とくに何をしても痛がる様子もないので、骨や関節には問題ないと思います。
あとは、何か刺さったりしたとか」
「ハチに追いかけられたんです。そのとき刺されたかもしれません」
「そうですかー……あ、あれ?」
先生が後ろ足の真ん中あたりをじっと見ている。
「あー!左足首が腫れてますね。
ちょっと赤黒くなってるし、何か刺さった感じですよホラ」
そういってハルさんの後ろ足を見せてくれたのだが。
「……先生」
「はい?」
「足首って……ドコですか?」
「え?あーすみません、ココですよココ」
笑いながら先生が指し示してくれた場所は、足の真ん中ぐらいにある、後ろへ曲がっている箇所だった。
ちなみに私はココを勝手に膝だと思い込んでいた。恥ずかしい。
「ワンちゃんはね、常につま先立ちなんです。
お座りすると初めて足が全体に地面に着いたことになるんですよ」
ということは私がもも肉だと思っていた場所は実はふくらはぎですか先生。
ソコが足首だとすると、ハルさんにはもう曲がる場所がありません先生。
ただでさえ短いのに。膝とかちゃんとありますか先生。
気休めでもいいからあるって言ってください先生――

骨と関節に問題がないと知り、途端に余計なこと(←ほんとうに余計だ)に気が回り始める。
とにかく言われた箇所を触ってみる。
確かに少し膨らんでいて、地肌も赤黒く変色していた。
ハチとも断言できないが、ちょうど関節に何かが刺さって腫れたため、一時的に歩き方がおかしくなったらしい。
聞いてみると、やはりワンコは昆虫系の毒には強いようだ。
刺されても何事も起こらず、まったく平気な場合も多いという。
さらにはマムシの毒にも結構強いらしい。
こういう話を聞くと、やはりハルさんも、そう遠くない祖先は野原に暮らしていたんだなと実感する。
まあ今回は刺されどころが悪かったのだろう。
それでも多少は腫れているようなので、薬をもらって帰る。
そんなわけで、この日は実にいろいろなことがあったが、とにかくあまりひどいことにならなくて本当によかった。
しかし、この日のメインイベントであった「なかみーさん一家を夕食にご招待」が完全に流れてしまったのが残念だ。

せっかく、色々と張り切って用意していたので(←用意が整ったあたりでハルさんの異変に気づいた)、写真だけでも撮ってみる。

やはり、自然の野山には危険がつきものだと再認識した、夏の終わりの一日であった。

なかみーさん、トモさん、リンくん、ありがとうございました!
今度はぜひリベンジ(?)にいらしてくださいね。
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いつもどうしてこんなに話が長くなってしまうのでしょう、私たち。
それもこれもハルさんが色々とやらかしてくれるから?
ネタ切れの飼い主を助けてくれるスーパードッグ(←鈍くさいともいう)、ハルさんにお疲れ様のクリックをお願いします。

翌日には無事、足は元通りになりました。
すっかり元気になって走り回っているハルさんに、よかったなのクリックをお願いします。

我が家ではオットがカルピンの水槽を割ってしまい、さらに割れた水槽で人差し指と中指の間接部分をざっくりぱっくり切り裂くという流血事件ががありました。
なんとも不運なオット。
しかし、ご飯がうまそう。じゅるり。
先頭を歩いていて、ハチに刺されたにもかかわらず、リアクションが薄くてハルちゃんにまで被害が及んでしまいました。ハルちゃんごめんよー・・・(T_T) 今度刺されたら(もう嫌ですが)、吉本新喜劇ばりにオーバーリアクションでいきたいと思います。
ちなみに、その後南丹市役所に電話したところ、私達が行く前に、すでに2回も蜂の巣駆除をしたそうです。今回のも駆除してもらっておきました。あと、会社の後輩が果敢にも実家のコーギーを連れて先週末同じ場所に行ってきたそうですが、「ハチ、マムシ注意」の大きな看板ができていたそうです。
リンのハルちゃん家でのリラックスぶりに二人してとっても驚きました。預かっていただいてありがとうございました。また懲りずにお付き合いくださいm(_)m
私も幼い頃、布団に入った途端に尻を刺されたことがありました(干した布団を取り込む時に一緒に取り込まれたらしい)。
ハルさんもリンくんパパママさんもお大事にして下さい〜〜・・・
それにしても・・・もしかしてハルさんってちょっぴり鈍い・・・?
さて、卓上のお好み焼きに非常に興味を持ってしまいました。さすが関西の食卓、お店で出される様な、物凄く美しく出来上がってるのに驚きました!かなり旨そうです。
リンくん一家!!
ダブルのおなかがかわいい!!山はこわいです・・・
ああ、支離滅裂・・・
Wヘソかわいい!!
ごはん、おいしそうですね〜〜!!
いつも読み逃げしてました(;・∀・)
ハルさんの膝がどこかすごく気になります。。。
大事にいたらなくて良かったです!
昆虫系に強いんですね、犬って。
ということはまた川に行くのかな、ハルさん...
最後にえらい事件があったのですね〜。
大事に至らなくてよかったです(^^;
やっぱり自然ではそれなりに注意していないといけない
ってことなんですね。覚えておきます。
にしても病院で余裕が出てきたときの
Mさんの思考がおもしろいです。
あそこは膝ではなくて足首だったのですね!
私も膝だと思っていました。
しかし、ハチに刺された瞬間は痛くなかったんでしょうかねえ。
わんこは痛みに強いっつーか、ニブイっつーか…。口に出して言わないですからねえ。
とにかく、ハルさんの短…、いやキュートな御足が何事もなくて良かったです。
うちの近所には時々ヘビが出るので
(でも、今夏は見なかったな)噛まれないように気をつけるのですが、わんこはヘビにもけっこう強いってのね。
じゃあ、安心してヘビVSあずきをけしかけてみようかしら。
(ウソですよん。そんなこと出来るはずないわ〜ん。)
しかし、今年はよくワンコが蜂に刺されたと聞きます。
大量発生しているのでしょうか?
足首、実は私もそらがヘルニアを発症した時、獣医さんに『足首が・・・』と説明され、『えっ?足首?ここ、膝じゃないんですか!?』と驚いた経験があります。
あそこが足首だなんてねーー。
短足犬だからこそ、余計びっくりするんですよね。
Yさん作のお好み焼きが食べたいです・・
蜂は怖いですよ・・・
いろんな思い出があります(泣)
ほんと、よかったです。ご心配おかけしました。
しかしそちらのオットさんの方が、けっこうタイヘンなことになっていると思いますが、
大丈夫だったんでしょうか。
ゴハン、実はそれほど手間がかかっていないのです。
それっぽく見せるのが得意なだけで。
■■なかみーさん
こんにちわ。
今更ですが、先日はありがとうございました!
二度と刺されていただくわけにはいきませんが、
吉本新喜劇ばりのリアクションはぜひ見たいと思う私です。
市役所にも連絡していただいたんですね。ありがとうございました。
当分渓流はコワイですが、よろしければ今度は別の
人工的なところで遊んでやってください〜。
■■nauさん
布団……それもコワイですね……。
油断しているときにやられるのが一番トラウマになりそうです。
でもそうなんですよ!
ハルさんがその場でそれなりのリアクションをしてくれれば
こんなグダグダしたことにはならなかったのに……。
■■sakuraさん
ありがとうございます。横で夫が喜んでおります。
確かにいくらワンコがアウトドアに強いとはいえ、
それなりの対策をして出かけていった方が
いいのかもしれないな、と今回ばかりは思いました。
■■はるりんさん
リンくんの飼い主さんがタイヘンなことになっているときに、
実は結構リンくんとやりたい放題に遊んでいた飼い主夫婦です。
リンくんたら、私たちのコマンドもちゃんと聞いてくれるので
ついつい調子に乗ってしまいました〜。
■■mayuさん
初めまして!コメントありがとうございます。
膝、あるにはあるみたいですが、どうも見た目には毛に紛れてよくわからないです。
しかしワンコはなんだかんだでアウトドアに強い生き物みたいですね。
川はハルさんがとても好きなので、
できればまた連れて行ってあげたいですが、
今年はまた刺されると怖いので、もう少し人工的な環境で
我慢しようと思います。
■■ぴっぴさん
でしょ〜。やっぱり膝だと思いますよね〜。
でもホント、ハチだと分かるまでは気を揉みました。
余計な思考に走ったのは、緊張しすぎて
つい頭のネジが緩んでしまったのだと
お考えください(←言い訳)。
■■かおりんさん
いやほんとに。
刺されたとき、ハルさんにもう少しリアクションがあれば
これほど気を揉むことはなかったと、今になっては思います。
あずきちゃん、ヘビにはどんなリアクションをするんでしょうか。
なんたってリーチが長いからなぁ、うまいこと狩れそう……。
■■そらさん
台風が多いとハチが地面近くに巣を作るらしいです。
だから近くを通過する生物を攻撃する機会が多いのかもしれませんね。
コワイ話ですが、飼い主ともども気をつけないとなぁと思います。
あぁでもやっぱりこちらにも膝だと思ってらっしゃった方が。
お仲間ですね(ニヤリ)。嬉しいです。
■■アインママさん
どんな思い出かはあえて聞かないことにします。
コワイので。
おかげさまで、ハルさんはその後何事もなく元気にしています。
ご心配おかけしました。ありがとうございました!