2007年07月22日

玉葱島の戦い−プロローグ−(Y)

2007年7月某日。
浅い眠りの中、彼女の中にほんの微か、澱のように残っていた犬としての本能が、‘くろくておおきいもの’の接近を告げていた。
遥か彼方、饂飩の国にあったはずの、その‘くろくておおきいもの’は、さしたる抵抗を受けることなく踊りの国を通過し、ついに海を越えたようだった。
今や、玉葱島の玉葱たちが次々に饂飩へとその姿を変えている。
時折吹く西からの風によって玉葱たちの悲鳴が耳に届く。

「玉葱たちを助けないと」

まだチョイ悪オヤジとして売り出す前のパンツェッタ・ジローラモから薫陶を受けたマンジャーレ(注1)の心がうずき、思わず立ち上がる。
何かが根本的にどうしようもなく間違っているような気がしたが、「さんまさん!さんまさん!」と叫ぶジローラモの笑顔がすぐにその思いをかき消した。

これまで幾多の危機を乗り越えてきた彼女にとっても、‘くろくておおきいもの’から感じる力は今までになく強かった。
でも大丈夫、いつもどおりやればきっと大丈夫、と朝ションをしながら自分に言い聞かせる。
オンナの闘いは、腕力じゃない。
鏡を見つめ、エビちゃんから教わった角度に口角を上げるトレーニングを続けながら彼女は勝利の鉄則を心に刻み込む。
この笑みを決して絶やさないこと。
そして、常に冷静さを失わないこと。

スマイル、スマイル

普段より早い朝食を摂り終える。
食後には朝ウンをすることが日課だ。
だが、オンナの第六感、あるいは戦士の直感がその行為を押し止めた。
ただの排泄物であっても何かの役に立つかもしれない。
なんといっても相手は‘くろくておおきいもの’なのだ。

そして彼女は開け放たれた扉から外に出た。
さぬきの夢2000(注2)が降り注ぐ玉葱島の方角を見つめ、決意を新たにする。

いつだって私は勝利者だった。
昨日までも、そして今日からも。

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(注1)イタリア語で「食」の意。
(注2)さぬきうどん用に讃岐で開発された小麦の品種

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あ、まだ引っ張る気かと思われた方も、ああ、あの‘くろくておおきいもの’かと思われた方も、クリック!

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この文章をMに見せたところ、すぐに今読んでいる小説がバレました。
(どんだけ影響受けやすいねん)
なお、全3回で終了予定です。
(どんだけ引っ張る気や)

そして、今日観た「アヒルと鴨のコインロッカー」は最高でした。
posted by 飼い主YとM at 01:28| 兵庫 🌁| Comment(11) | TrackBack(0) | お出かけ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
気になる〜〜〜!!
黒くて大きいものめちゃくちゃ気になる〜〜!!
Posted by karu at 2007年07月22日 01:43
もしや黒い柴刈機さんでしょうか
Posted by とんとことん at 2007年07月22日 10:19
くろくておおきいもの・・・
やっぱり、「洋犬には割りと良い感じ」なあのくろくておおきいものでしょうね。
ハルさんどうなることやら。
なんてったって玉葱を饂飩に変えてしまうほどのオーラの持ち主ですから。
Posted by glymax at 2007年07月22日 11:00
「さんまさん!」ネタが分からず、思わずリンク先から
調べてしまいました。
今読んでらっしゃった小説と言うのが何か気になります。
いつだって小説を読んでいるような気分になれる、
お二方の文章は洗練されていて、憧れます。
でも玉葱が饂飩に姿を変えるとか、もうワケ分かりません。涙が浮かびます。
しかも全然本題に入っていないような気がするのは
気のせいでしょうか。
くろくておおきいものに立ち向かえ、
「ひくくてながいもの」の意地を見せるんだ!
Posted by フジウラ at 2007年07月22日 11:29
ハルさんお気をつけて!ヾ(´▽`*)ノ
ゆめちゃん伝説達成がんばれ!ヾ(´▽`*)ノ

ものすごく続きが楽しみですw
うーん、どんなことになるんでしょうねー、気になります気になります^O^
Posted by happy_the_corgi at 2007年07月22日 11:50
ずっと読み逃げしておりましたが、「くろくておおきいもの」との戦いの記録が気になり、初めてコメントさせていただきます。
全3回との事。
期待が膨らみすぎて、手が震えラーメンが食べれません(もちろん豚骨)
早く我が家が、ラーメンを食べられるよう更新を楽しみにしております。
Posted by 珊瑚ママ(オカ) at 2007年07月22日 11:56
朝ウンをも我慢してまで、武器に使おうとしているとは・・・。
「くろくておおきいもの」、いやぁ謎がいっきに深まりました、朝ウンで。
Posted by sakura at 2007年07月22日 19:10
「くろくておおきいもの」は、洋犬だけでなく
一部の「くろくてちいさいもの」&「くろくてほどほどなもの」にも優しいことが判明。
私の家に生息する「くろくて若干ちいさめなもの」は…_| ̄|○
Posted by かおりん at 2007年07月22日 20:27
初めまして。
「くろくておおきいもの」と同じ饂飩の国に住まう、イタグレ・トトの飼い主、まりこと申します。
いつコメントデビューしようかと機を窺ってましたが、今回くろくておおきいものと直接対決するハルさんの勇気に感動して、初コメントさせて頂きます♪
ハルさんの運命や如何に!?(もうゆめちんの所でみちゃったが)ご無事を祈っております。
Posted by まりこ at 2007年07月22日 21:58
こちらも初コメントのロックンロール兄妹の飼い主さんりなです。↑かおりんさんコメントの「くろくてちいさいもの&くろくてほどほどなもの」です。
そう、ハルさんが玉葱島を守るべく立ち上がる2日前に黒くて大きいものと遊ばさせていただきました〜。
あの日のフジウラさんの「あのハルさんが会いに来てくれるんです〜」と語った時の輝いた瞳が私の頭の中に焼きついてます。いつまでも、いつまでも…。
ではつづきを楽しみにしてまーす!!
Posted by さんりな at 2007年07月23日 00:22
★karuさん
くろくておおきいもの、当ブログでは初登場ですが、数々の伝説を築き上げてきたスペシャル・ドッグです。
まあ、伝説は一瞬で壊れましたが・・・・・・(涙)。

★とんとことんさん
潔い一行コメント、ありがとうございます。
見事、大正解です!!

★glymaxさん
‘くろくておおきいもの’の「洋犬には割りと心が広いような伝説」はヅカの悪女によって粉々に砕かれ、夜空のお星様になりました。
ある意味、伝説が神話になった瞬間かもしれません。(上手いこと言うたつもりか)

★フジウラさん
くうっ。
やはりLEONになる前のジローラモはマイナー過ぎましたか・・・・・・。
でも、「笑いは狭ければ狭いほどいい」を座右の銘にしているので、これにめげずに頑張ります(←反省しろ)。
ああでも、小説に影響を受けたのは‘くろくておおきいもの’という表現(正確には「まっくろくておおきなもの」)だけで、文章は(相変わらず)支離滅裂です。
プロローグ−本編―エピローグという構成になる予定ですので乞うご期待!
(当事者に何を言っているのか)

★happy_the_corgiさん
応援コメントありがとうございます。
皆さん、ゆめきち伝説が美しいフィナーレを迎えることを、きっと首を長くして待っていたことと思われます。
けれど、その夢は一瞬で砕け散りました。
‘ゆめ’だけに・・・・・・。(←全然うまくない)

★珊瑚ママさん
はじめまして。
あ、でも、お名前は尻ブログやらうどんブログやらで拝見したことがあるような。
豚骨ラーメン?
もしや博多の方ですか!?
何だか物凄くラーメンが食べたくなってきたので、本場のラーメンを出前していただけるまで更新せんとこうかと思いましたが(図々しいにもほどがある)、うどんの方角から届く「早く書いて終わらせろ」との無言のプレッシャーに屈してしまいました。

★sakuraさん
溜めに溜め込んだフンチョスの行方はどうなったのか・・・・・・?
結局、本編では全く登場しなかったフンチョスですが、
その謎はエピローグで明かされる予定です。

★かおりんさん
「YUME NOTE」に名前を書かれて、初めてかおりんさんの気持ちが分かりました。
今までは対岸の火事だと思って暢気に爆笑していたのに、まさか我が身に降りかかってこようとは・・・・・・。
ゆめ様が他の犬と楽しそうに遊んでいる記事を見ると、何だか一抹の悔しさを覚えてしまうその気持ちも、深く感じとることができるようになりましたよ。(本当は祝福すべきなんでしょうが)
でも、あずきちゃんとボボはこれまた天敵同士ですし、何だか複雑な犬関係が出来上がってしまいましたね(涙)。

★まりこさん
はじめまして。
イタグレのトト君といえば!?
讃岐のブラック・トマホークを驚異的なスピードで翻弄し、「洋犬には割りと心が広いような伝説」を支えた名犬ではないですか!
けれど。
伝説は崩壊しましたので、悪しからず。(←ちょっとは悪びれろ)
UDONへ帰国した傷心のゆめちゃんをどうか慰めてやってください。

★さんりなさん
はじめまして。
ロックンロール兄妹といえば!?
「柴犬とも割と仲良くできる場合があるみたい伝説」を築き上げたスーパー兄妹ではないですか!
もうひとつの伝説は崩れ去りましたがね。
フッフッフ。(犬もワルなら飼い主もワルだ)
フジウラさん、きっとけがれを知らない少女のような可憐な瞳でさんりなさんに夢を語っていたんでしょうねー。
でも、もう二度とあの瞳の輝きは戻らないでしょう(涙)。
大事に大事にさんりなさんの胸の中にしまっておいてください。
Posted by Y at 2007年07月24日 00:13
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