2006年07月13日

呼び名(Y)

ハルさん」である。
「ハルさん」

一応、このブログの主役だ。

しかし、実のところ、一度も飼い主は「ハルさん」と呼んだことはない。
まあ、「ハルさん」はペンネームみたいなものである。
あるいは、芸名といったところか。

「ハルさん」がウチに来た当初、我々は「ハル」と呼んで可愛がり、そして悪さをすると叱った。
初めて犬を飼う共働き夫婦は、「しつけ」に対して非常に神経質になっていたと思う。
マンション暮らしだし、昼間は留守番をしてもらわないといけないので、飼い主の言うことをきちんと聞ける犬に育ってもらわないと困るという思いが強すぎたようだ。
おのずと、ハルさんに対する態度は厳しくなり、ちょっと歯が手に当たっただけでハルさんは「ゴルア砲」を浴びせられたりしたものである。
もちろん、「イイ子。イイ子」と言って、叱った後は褒めていたのだが、叱りっぷりが度を越していたのか、ハルさんの反応はイマイチで、褒められているという実感はなかったのかもしれない。

※ちなみに、手をあげたことは一度もありません。

さらに、飼い主は誰かを叱ることに馴れていなかったため、「コラ!」ではなく「ハル!!」と名前を叫んで叱ることも、ままあった。
「ハルさん」にとって、「ハル」はゴハンの時に呼ばれる言葉でもあり、叱られる時の言葉でもあったのだ。
だから、幼少の頃のハルさんは、「ハル〜黒ハート」と甘い声で呼んでも、嬉しそうな顔をして飼い主の元へ来ることはなかったのである。これぞ正に自業自得だ。

そんなある日、飼い主とハルさんの関係を一変させる出来事が起こった。

ロミオ君との出会いである。
正確に言うと、ロミオ君のお母さんとの邂逅だ。
ロミオ君のお母さんだから、ここではモンタギュー夫人(仮名)と呼ばせていただく。

前にブログで書いたように、壁越しの愛を実らせ、ようやくロミオ君と巡り合ったハルさんだが、実はロミオ君以上に虜になっていたのが、このモンタギュー夫人だったのだ。

耳をペターンと寝かせ、モンタギュー夫人にまとわりつくハルさんに対し、夫人は「ハルちゃーん黒ハートおりこーぅ」とハルさんを撫でる。
この言葉に反応し、さらに嬉しそうな様子を見せるハルさんの姿に、飼い主は呆気に取られた。
こんな姿、飼い主の前で見せたことがあろうか。否、ない。
えーっと、確かこれって反語ってやつやな、としょうもないことを考えていたとき、ある考えが閃いた。

Mの様子を見てみると、Mも同じことを思いついたようだ。

モンタギュー家との逢瀬を終え、家に戻ったハルさんに対し、早速試してみる。

ハルちゃーん黒ハートおりこーぅ

と猫なで声を出し、撫でまくってみた。

すると・・・ハルさんの耳がペタリと倒れ、嬉しそうに興奮しているではないか!
おおっ。これはイイ。
と調子にのって

ハルちゃーん黒ハートおりこーぅ

を連発していると、

あれ?この人はモンタギューさんじゃない!」

と突然ハルさんは我に帰り、そそくさとその場を離れた。

しかし、この日以来、味を占めた飼い主夫婦によって

ハルちゃーん黒ハートおりこーぅ

攻撃は続けられ、現在、ハルさんは

ハルちゃーん

と呼ばれただけで嬉しそうな顔をするようになった。

耳ペタハルちゃん

そんなわけで、モンタギュー夫人の多大な影響のもと、ハルさんの本名は「ハルちゃん」となった。

もちろん、褒めるときは「イイ子」ではなく「おりこーぅ」である。


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「ハルさん」と呼ばれても反応しませんが、「ハルちゃん」と呼ばれると一目散に駆けて来ます。初対面の人であっても。
そんなハルさんに「おりこーぅ」のテチをお願いします。
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posted by 飼い主YとM at 01:23| 兵庫 ☁| Comment(6) | TrackBack(0) | ハル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
なんか・・・スゴク分かります。笑。
ウチもそんな感じです。飼い主には見せたことがないような「イイカオ」で他の人に寄っていく姿は結構傷つきます。爆。
ウチは普通に呼ぶときは「あん」と呼びますが褒めるときは「あんちん」(恥ずかしいので人前では殆ど呼べませんが・・・(;´Д`))と呼んでいます。笑。
しつけって難しい・・・笑。
ハルさんにお会い出来たあかつきには是非「ハルちゃん」と連呼しようと思います。わはは。
Posted by at 2006年07月13日 10:37
いつ見てもハルさん(どーしてもさん付けになってしまう)は幸せそうな顔してますねー。
うちは、つーにゃん、つくにゃん、つな、つー、などなど、ありすぎて、本人どこまで分かってるのやら。
お会いできる時があったらあたしもハルちゃんと呼んで懐きまくってもらおう。
Posted by えり at 2006年07月13日 13:27
うちも!うちも!!
近所のおば様に「あずきちゃ〜ん」と呼ばれると、ペタミーミで飛びついていきます。
確か柴犬は、飼い主以外にはなつきにくく…って聞いていたのになあ。
ハルさんに会うときは「ハルちゃーん」ですね。
ヨシ、覚えておこう。
Posted by かおりん at 2006年07月13日 14:54
我が家も手に歯があった瞬間にいろんなものが飛んでましたね。
それこそ、スリッパなんてものは格好のお仕置き道具(ちょっと過激?)でした。
もちろん殴ってませんが・・。

ハルさんの本名はハルちゃんなんですね。
宝塚で会ったときはリリィをジュリエットにしてやってください。
・・・意味不明なコメント・・・。

ハルちゃんにお会いできるのを楽しみにしてます♪
Posted by キチさん。 at 2006年07月13日 16:40
なるほど、名前で怒ってしまった場合の
対処法の勉強になりました。

起こる時はこの言葉、褒める時はこの言葉
ときちんと区別してあると、
ハルさんもちゃんと覚えてくれるのですよね。
うちもおもいっきり褒める時は猫なで声です。
他の人から見たら、親ばかならぬ、飼い主ばかに見えてるかも・・・
Posted by ヤンドク店長 at 2006年07月13日 17:03
★福さん
杏ちゃんもソトヅラはイイんですね。
犬って、もっと飼い主に忠実な生き物かと思っていたんですが、どうやらそうでもないようで。
「あんちん」・・・確かに家の外で発するのは恥ずかしいかもしれません。
でも、皆さん、そんな感じではないのでしょうか?

★えりさん
つーにゃんは呼び名の総合商社ですね!
ってあまりイイ意味ではなくなったし、大体、面白くないですね。
すいません。
でも、それだけの呼び名を聞き分けることができるつーにゃんは偉い!

★かおりんさん
確かに、柴犬って、一番飼い主に忠実そうな犬種っていうイメージはありますね。
もし、お会いできたとき、「あずきちゃーん」って呼んだら、果たしてベタミミで来てくれるのだろうか。
ちょっとドキドキ。

★キチさん。
おおう。
リリィさんも過酷な少女時代を歩んでこられたのですね。
もし、お会いできたら、ハルさんは同士に出会えた喜びに打ち震えるかもしれません。
スリッパ!懐かしい。
Mが持ち歩いていましたね。
私は裸一貫で頑張りましたけれど。

★ヤンドク店長
お?さすが冷静なコメントです。
しつけで行き詰ったら言葉を変えてみるのは大事かもしれません。
皆さん、家の中では物凄く甘ったるい言葉を投げかけているようですねー。
自分だけではない、と開き直ることができました(^^)
Posted by Y at 2006年07月14日 00:48
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