私(Y)が風呂に入ると言うと、Mはもう眠いので、先にベッドで寝ていると言い残し、寝室へと去った。
私も眠かったので、あまりよく考えることなく風呂に入ったのだが、結果的にハルさんは一人ぼっちでリビングに取り残されることになったわけである。
しかも、「散歩なし」のため、気力・体力とも充実した状態で。
ちょうど、おじいさんが山へ芝刈りに、おばあさんが川へ洗濯に行った後、家に一人で取り残された桃太郎のようなものである。
「きのこ」
半年くらい前に購入したゴム製のおもちゃである。
ハルさんが噛むと「プイ!」と威勢のいい音がする。
飽きっぽいハルさんにしては、現在でもたまに遊ぶことがある、珍しい部類のモノなのだが・・・・・・。
きのこで遊ぶハルさん
この日、一人取り残されたハルさん、何を思ったのか、この「きのこ」をくわえたまま、普段入ってはいけないことになっている寝室に、「プイプイプイプイ!!」と突撃し、「きのこ」をMに投げつけたらしい。(ハルさんは首を振って咥えたきのこを投げることができる)
結果・・・・・・
ヴァーン!!
と大きな音がして、いきなり風呂の扉が開いたと思ったら、キッと目を吊り上げたMの顔がそこにあった。
「なんで、ハルをおやすみさせてから、風呂に入らないのよ!!」
とえらい剣幕である。
(ハルさんは「おやすみ」と言うと自らケージに入る)
ん?
ふと足元を見ると、神妙な面持ちのハルさんが座っている。
その後・・・・・・ハルさんのゲリラ活動の一部始終を聞かされ、ハルさんと共にお説教だ、これ。
ハルさんがあまりにしょんぼりしているので、思わず笑ってしまったら、「何がおかしいのよ!」と、またお叱りを受けた。
しかし。
このとき私の中である悲壮な決意が宿っていたのである。
「同士ハルよ。お前の(スピリチュアルな)死は無駄にはしない。きっと仇はとってやる」と。
・・・・・・数十分後、風呂から上がった私は、きのこ爆弾を手に持ち、ハルさんに「行って来るぜ。ブラザー」と声をかけた後、そろりと寝室へ忍び込んだ。
Mに気づかれないよう、ホフク前進で慎重にベッドに近づく。
慎重に慎重を重ねた前進の結果・・・・・・数分後、Mの横顔が目前に迫る。
頃合よし。
一呼吸整えた後、「プイプイプイプイ!!」と、一気にきのこ爆弾を投げ込んだ!!
そして、一目散にハルさんのところへと逃げ戻った後、ハルさんに「トラトラトラ!」と嬉しい報告を行い、握手をする。
するとようやく眠りかけていたハルさんが、「遊んでくれるの?」とばかりに覚醒してしまった。
しばらく遊んだ後に寝てしまったおかげで、翌朝寝坊してしまったじゃないか、ハルさん。
ゲリラには 迷彩服が よく似合う
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