そんな雨の日に、ハルさんは「ソレイユ」になる。
ソレイユとは、女優の川原亜矢子が飼っているゴールデンレトリーバーの名前であるが、少し前、何のCMかは忘れたが、川原亜矢子と一緒にCM出演していたことがある。
川原亜矢子とソレイユが、部屋の窓から外を眺めているシーンでそのCMは始まる。
川原亜矢子は「雨だねぇ、ソレイユ」と優しくゴールデンに話しかける。
賢そうな顔をしたソレイユは「そうだねぇ」というような顔で川原亜矢子の方を見つめ返す。

その後、川原亜矢子が「お散歩行こっか」と言って、傘を差し、レインコートを着たソレイユと家を出て行くという感じのCMだったかと思う。
そこには飼い主と犬との理想的な関係が横たわっているように思えた。
だから、私たちの記憶に深くとどまっているのだろう。
犬を飼ったら、こんな関係になりたいと思った私たちは、雨が降ると、とりあえずハルさんに「雨だねぇ、ソレイユ」と優しく話しかけるようになった。
もちろん、ハルさんは何を言われているのかよく分からずに、きょとんとしている。
しかし、そんな些細なことにあまりこだわらない飼い主のせいで、今でも、雨が降るとハルさんはソレイユに改名されてしまうのである。
「雨だねぇ、ソレイユ」
・・・・・・でも、雨の日に散歩は行かないダメ飼い主なのである。