
ハルさんのブラッシングをし、歯磨きをし、オヤツをあげる。
歯磨きとオヤツが矛盾している気がしなくもないが、まあこれが我が家の日課である。
今日もブラッシングと歯磨きを終え、クッキーを握ってハルさんを見る。
ハルさんは既に万全の態勢(←オスワリ)でクッキーを待っている。

そこでふとイタズラ心が湧いてきて、両手ともに握りこぶしを作ってハルさんに言う。
「ハル〜、どっちかなー?」
ハルさんは答える。
(フガフガフガ……フガー!!)

ハルさんは右手を激しく突付き始める。
私は笑顔で右手を開く。

「ウフフフ〜ハズレ!残念!!」
背中に手を回して、今度は右手にクッキーを隠す。
そしてふたたび両のこぶしを前に出す。
「ハル〜、どっちかなー?」
(フガフガフガ……フガー!!)

ハルさんは左手を激しく突付き始める。
私は笑顔で左手を開く。

「ウフフフ〜ハズレ!残念!!」
そして私は再び背中に手を回し、クッキーを右手に移す――。
5分後。
「……どっち」
(フガフガフガ……フガー!!)
「……ハズレ(ため息)」

私たちは暗黒の無限ループに陥っていた。
クッキーはヨレヨレ、手のひらは粉だらけ、飼い主のテンションはすでにダダ下がりである。
ハルさんのテンションはとくに下がっていないとはいえ(←あるイミ立派)、ひたすら交互にクッキーを入れ替えているだけなのに、なんという視野の狭さであろう。というか鼻はどこに置いてきたオマエ。
もう普通にあげてもよかったのだけれど、なんとなく意地になって再び両手を背中に回す。
するとハルさんが突然立ち上がった。何をするつもりか見ていると、フガフガと私の背に回ろうとするではないか。

「ちょっと、何やってんの?!
そんなズルして、犬として恥ずかしくないのアンタ!?」
思わず大きな声が出てしまう。
けれどハルさんは、その後も隙あらば背後にまわり込もうとする。まるで人のような動きである。
犬として当然の能力(鼻とか鼻とか鼻とか)を完全に無視してはいるものの、それなりに問題解決能力を備えた愛犬を褒めるべきか悲しむべきか、迷うところであった。
****************************************
ハルさんの犬本来の能力は果たしてどこへ行ってしまったんでしょうか・・・・・・。ハルさんの落し物が早く見つかるよう、こちらに支援のクリックをお願いします。

そして、前回に引き続きダメ犬っぷりを曝露されてしまったハルさんにどんまいのクリックをお願いします。
