
マストチョイス、という心理テクニックがある。
たとえば洋服店でひやかし客に対して店員が2枚のシャツを持ってくる。
そして
「白いシャツと黒いシャツ、どちらがお好みですか?」
ときく。すると客は「買うか買わないか」という判断をすっ飛ばし「白か黒、どちらが良いか」ということを考えはじめるという。
聞いたときは「へぇ」くらいしか思っていなかったのだが、あるときふとこんな思い出が心の奥から浮かび上がってきた。
「PlayStation3が欲しい」
あるとき夫から申出があった。
そして私は、
「サッカーゲームしかしないのだから、PlayStation2で充分なのでは?」
と反論していた。
しかし数日後、どういうわけか論点が
「PlayStation3かX-BOX、どちらが良いか」
に変わっており、気づけばこの新しい問題(PlayStation3かX-BOXか)について一緒に検討していた。
それで結局PlayStation3を購入することになってしまった。なんだか完全にだまされている。

ソレを思い出したのは、ちょうど電気店で夫がPlayStation3のコントローラを追加購入しようとしていたときであった。もちろん私はこの件についても反対しており、だからこそ、この話を思い切って夫にぶつけてみたのだが、
「マストチョイステクニック? そんなんあんのー、ハハハすごいなー。
で、このコントローラ、振動するやつとせーへんやつどっちがいい?」
と聞かれてつい
「振動するやつ」
と答えてしまった(←ダメなやつ)。

その後もこの件についてなんの改善案も見出せずグズグズと暮らしているうちに、今度はストウブ(←ダッチオーブン的な鍋。高い)を購入することになってしまう。
この件についても少し前に、
「ストウブが欲しい」
という夫の申出があった。そして私は確かに当初
「鍋はたくさんあるし、わざわざ必要?」
と反論していた、筈だった。
しかしこれも、やっぱり近頃になって「ストウブかルクルーゼ、どちらが良いか」という議論にすり変わり、なぜか一緒に検討したうえ、今回めでたく(?)通販で購入することになったのである。

夫とは長い付き合いだ。
今はまだ思い出せないが、マストチョイスが発動されたのがおそらくこの3回限りということはないだろう。
なんだかんだで夫には丸め込まれてばかりなのであった。

とはいえ新しく購入したPlayStation3では「Assasin's Creed」にとても熱心に取り組んでいるし、今回購入したストウブも、きっと喜んで使うのだろう。
私は適応力がとても高いのだ(←流されやすいともいう)。
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