
ハルさんをTDSPに預けて、私たちが向かったのは兵庫県北部にある湯村温泉だった。
城崎温泉でもよかったのだが、何となくマイナーな匂いのする湯村温泉を選んでみた。
目的は蟹である。

茹で蟹、蟹刺し、焼き蟹等々・・・・・・、蟹三昧の夕食をたらふく食べることが出来て、飼い主達は幸せだった。
これだけの蟹を食べてなお、胃もたれすることなく完食できたのは、やっぱり新鮮な蟹だからだろう。
ゆっくりと温泉につかり、美味しいものをお腹いっぱい食べる。
これこそ、何物にも代えがたい至福の瞬間だ。
ハルさんと一緒だとなかなかこうはいかない。
残念だけれど、それが現実である。
さて、翌日。
そろそろ宿を出発しようと駐車場に停めてあった車に乗ろうとした時、偶然、駐車場の向こうにピョンピョンと動く物体を見つけた。
何だろうと思って見てみると、犬だった。
宿で飼われている犬らしく、宿のスタッフの方にまとわりついている。
無条件に犬好きの私たちが早速近寄っていくと、ひと目で明らかに柴犬と分かる犬がそこにはいた。

チコちゃんというその柴犬は、初対面の私たちにも愛想いっぱいの笑顔を振り撒き、すりすりと懐いてくれた。
それにしても、なんといい笑顔か。

見知らぬ私たちにも警戒することなく接してくれるのは、宿の人たちや、近所の方、たくさんの人たちに可愛がられているからなのだろう。
こんなに人懐っこい成犬の柴犬に出会ったのは初めてだったので、調子に乗って撫で繰り回してしまった。
特に、前日ラブラドールのそら君にそっけない態度を取られてしまった妻Mはご満悦であった。

ちなみに、足から胸にかけて毛が生えていないのは、散歩中に源泉へ立ち入ってしまい、火傷してしまったからということだった。
温泉地ならではの不幸な事故だけれど、この笑顔を見る限り、きっと傷は癒えているのだろう。
チコちゃんとの別れを惜しみつつ、私たちは海へと車を走らせた。
鮮やかな空の色を青く映し出す日本海を見渡せる場所まで辿り着く。

けれど、私たちは海を見に来たのではない。
ハルさんの飼い主だけあって(?)、食い意地の張った私(Y)は海産物を買いに来たのだ。
やはり、せっかく遠方まで来たのだから、その土地の物を買って帰りたい。
そんな私の願いを叶えてくれるものが、そこにはあった。

ひとつは、ホタルイカ。
そして、もうひとつは若松葉カニであった。
水カニとも呼ばれるそのカニは、その名のとおり、年齢が若い松葉ガニで、殻が柔らかく、あまり身が詰まっていないため、刺身やしゃぶしゃぶに向いているという話だった。

そして何より安い!
大きさは松葉ガニと全く変わらないのに、一匹1000円程度で売られているのだ。
迷うことなく、ホタルイカとともに買って帰る。
さらに、帰り道の途中では、但馬牛ステーキに舌鼓を打ち、ハルさんの待つTDSPへと向かった。

グルメ三昧の旅を満喫してきた飼い主たちをハルさんはどのように出迎えてくれるのだろうか?
そしてTDSPで一泊したハルさんの様子はどうであったのか?
飼い主達の期待と不安、そしてパンパンに膨れた腹を抱えて、車は一路TDSPに向かうのであった。

つづく。
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