
我が家のスリッパたちは皆、短命だ。
本来であれば、擦り切れ、穴が開くほどまで履きこまれて、ようやくスリッパとしての人生を全うしたことになるのだろう。
けれど、みんな志半ばで、逝っちまった。
ジョニーやマイク。
笑顔がキュートなキャシーだって。
みんないい奴ばかりだったのに・・・・・・。
飼い主たちは時々このような感傷にとらわれることが
まあ、それはともかく。
我が家の愛すべきスリッパ達がすべからく短命なのは紛れもない事実である。
原因は、はっきりしている。
この犬だ。

ハル・ザ・ボマー。(ジャック・ザ・リパー風に)
そう、我が家は爆弾魔が住まう家なのである。
恐るべき犯罪者、ハルさんの犯行手口はこうだ。
まず、何食わぬ顔でトイレに入り、フンチョスを捻りだす。
その際、捻り出し切れなかった小さなフンチョスが門まわりにひっかかる。
その後、トイレから出てきて家中をウロウロする間に小型フンチョス爆弾がポロリとこぼれ落ちるという算段だ。
ちなみに↓の写真は、散歩途中で発見された小型爆弾である。

この爆弾が屋内で投下された場合、何も知らない飼い主が家の中をてくてくと歩いている時に、うっかりとフンチョス爆弾を踏んづけてしまうというわけである。
こうして、数多くのスリッパ達がフンチョス爆弾の犠牲となった。
しかも、それだけではない。
へしゃげたフンチョスが放つ臭いは完全体の数十倍、いや数百倍に達するのだ。
この臭いときたら、もはや殺人的である。
皮を剥いただけのにんにくの匂いと、それを手でつぶした匂いを比較してみると、分かりやすいと思われる。
しかし、これだけ犯行手口が明らかになっているにも関わらず、犯犬に悪意がないものだから、逮捕・監禁することができない。
私たちに出来ることといえば、爆弾が生じないように予防することと、爆弾が投下されたあと未然に爆発物を処理すること、この二つだけだ。
私達は、飼い主として、いや、人類の威信を賭けてフンチョス爆弾に対抗し、安心して暮らせる家庭を築かなければならないのである。

まずは予防手段。
フンチョス爆弾をこの世に生み出さないためには、爆弾生成のメカニズムを丹念に調査する必要がある。
長年に渡る研究の結果、ハルさんのキバり方が足りないから爆弾が出来上がってしまうという結論に達した(←なんてアナログ)。
要するにハルさんの気合が足りないのだ。
そのため、最近では、ハルさんがフンチョス体勢に入った段階で
「ハル!ウーーン!!」
「ウーーーーン!!!」
とハルさんにエールを送ることにしている。
例えるならアルプススタンドの応援団みたいなものだ。
これでフンチョス爆弾の予防はばっちりだ。(←ホントか?)
ただ、これだけでは完璧とはいえない。
万が一、フンチョス爆弾が生み出されてしまった時のことも考慮しておかないといけない。
そのため、私たち爆発物処理班は、トイレに残されたハルさんのフンチョスの形状を真っ先に確認し、不完全な形をしたフンチョス(門まわりに分身が残っている可能性大)を発見したら、直ちに第一種警戒態勢に突入することにしている。

第一種警戒態勢とは何か。
思い出してほしい。
学校の体育の時間中、誰かが「コンタクトが落ちた!」と叫んだ時に皆でとった、あの体勢を。
夫婦二人、匍匐前進で家中をくまなく這い回るのだ。
もちろん、匍匐前進のまま犯犬の門まわりもチェックする。
しかし、犯犬はご丁寧にフンチョスを床の色と同化させている(←床がフンチョス色ともいう)ことから、捜索は難航を極めることが多い。

それでも、地道な捜索の結果、幸運にもブツを発見する時がある。
直ちに爆発物処理班の手によってティッシュペーパーで撤去され、丹念に消毒作業がなされるわけだ。
ところで、最近、ウォンテッドメーカー(脳内メーカーみたいなやつ)を発見したので、早速試してみたところ、こんな結果が出た。

怖いくらい的を得ている。
こうした地道な努力の甲斐あって、近頃ではフンチョス爆弾の犠牲者はめっきりと少なくなった。
とはいえ、私たちがいまだに爆弾魔の影におびえながら匍匐前進ライフを送っていることは、紛れもない事実なのである。
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ついにハルさんの犯歴が公表されてしまいました。
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