スタートラインに並んだ飼い主のところから、30mほど先に待つもう一人の飼い主のところまで走りぬける速さを競うという、シンプルな競技だ。
この競技にも、もちろん、ロミオ君に参加してもらうことにする。
そして実は、この「徒競走」、昨年の春にハルさんが大失態を犯した因縁の競技でもある。
ところが、リベンジに燃える飼い主の気持ちをよそに、ハルさんは地中海でバカンスを満喫しているマダムのようにまったりとスタートラインに寝そべっている。

他の犬たちは今にも飛び出しそうなヤル気に満ちた体勢でスタートラインに立っているのに、この短足犬は一体何をしているのか。

いつもいいコだと思っていたハルちゃんにこんな一面があったなんて・・・・・・。
ハルさんのあまりの自堕落っぷりに、いたいけなロミオ君が困惑している様子が遠目からも伝わってくる。

ロミオ君、そういう体験は早めにしておいたほうがいいかもな。(←ワルイオトナ)
そんなことをこっそり思いながら、飼い主も落胆を隠せなかった。
また今年も駄目か・・・と。
ところが。
スタートの合図が鳴ると同時に、昼下がりのティータイムを楽しんでいるように見えたハルさんが、目にも留まらぬ勢いで立ち上がり、ゴールエリアで待つMのほうへ駆け出したのである。

さすが、世界を股にかけるキャリアウーマン。
オフからオンへの切り替えの速さだって超一流だ。

表情が真剣そのもの、というよりは、むしろ鬼のような形相になっているのが少し気になる。
けれど、この暴走っぷり、まるで「(自称)ヅカの暴走王」の名を欲しいままにした、あの若きハルさんがタイムトリップしたような錯覚を覚える。
これはもう犬じゃない。
弾丸だ。
弾丸が走ってる!!

今や、ハルさんは、最低でも秒速200mはあるといわれる弾丸と化していた。
皆の期待を一身に背負った弾丸犬は、ロミオ君のほろ苦い思いを蹴散らすかのように、まっすぐ、ひたすらまっすぐに、Mの待つゴールラインに向かう。
そして、ついに、ハルさんは弾丸のままゴールエリアに突入した。

見事に、最下位で。(号泣)
・・・・・・・。
真剣勝負の場で、華麗な鈍足っぷりを披露してしまったハルさん、その転落犬生はまだ続くのであった。
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いつものことならが、コメント返しが遅れてすみません。
必ず返しますので、もうしばらくお待ちください。