
嫌がらせのように辺りをのた打ち回るカピバラを連れて、以前にも行ったことのあるドッグカフェへと向かった。

ハルさんも飼い主もここで疲れを癒し、喉を潤す。

実は、ハルさんは体が濡れると人間の足元で自らの体を拭くという、非常に困った習性がある。
この日、飼い主にハメられたハルさん、その恨みを晴らそうとしていたのだろうか。
いつも以上に執拗なボディアタックを仕掛けてきたため、それをかわす飼い主もかなり消耗してしまったのである。

こうして、ほんの少し、目に見えない何かが失われた(のかもしれない)一日が終わった。
けれど、相手が犬であっても、やはり何らかの埋め合わせは必要ではないだろうか。
酔っ払いのオサーンが折り詰めを持って帰るように。(今時いるのか?)
デートをすっぽかしたお詫びに手作りのお弁当を持っていくように。(母親に作ってもらったことはもちろん内緒にして)
そう思った飼い主は、ハルさんのために(←ココ重要)、新しい犬用クッションを購入した。
実は、今までリビングにハルさん用として設置されていたのは、座布団(もちろん人間用)だったから、これはもう凄いランクアップだ。

ところが、目新しいモノに馴染むまで時間のかかるハルさんである。
クンクンと匂いは嗅ぐものの、なかなかクッション内に入ろうとしない。
ここで、何事にも早急なMが、その本性を露にする。
ハルさんを抱え上げ、クッションの真ん中に投下した挙句、「マテ」を命じたのである。

もちろん、飼い主のコマンドには従うしかないハルさんはクッションの中でじっとしている。
そこへ、
「ハル!クッション!!」
「これ、クッション!!」
「クッション!!」
「クッション!!」
「ハルクッション!!」
と威勢のいい連呼が始まった。
思わず、傍らで「ワッショイ!ワッショイ!!」と声を上げそうになったが、残り少ない理性がそれを押し留めた。
(こういうときに茶化すとろくなことがない)
どうやら、Mは「クッション」をコマンド化しようとしているようであった。
何かを成し遂げようとする時のMの熱意と行動力は大したものだと思う。
(インリンも女豹もMが仕込んだ)
じきにハルさんは「クッション!」と言われると、クッション内に鎮座するようになったのである。

クッション内で素晴らしい笑顔も見せるようになった。

けれど、今まで一度も、ハルさんが自発的にクッションで寛いでいる様子は見たことがない・・・・・・。
これぞ、
本末転倒。
お後がよろしいようで・・・・・・。
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