8月27日、福岡市早良区原1丁目付近でW・コーギーの「ちぃ」ちゃんが行方不明になりました。
飼い主さんが探しておられますが、まだ見つかっていないようです。
心当たりのある方は、下記まで連絡いただけると助かります。

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前回の川遊びでは不様な姿で岩にしがみつき、飼い主を大いに笑わせてくれたウチのスーパードッグ、ハルさんである。

そのハルさん、今回も全く同じ醜態を晒していた。
ハルさんたら、ひょっとして、前回ウケたことを記憶にとどめており、二匹目のドジョウを狙ったのかもしれない。
なんといっても関西で育った犬なのだ。
「犬なんて笑いをとってナンボ」
それくらいの気概があってもおかしくはない。
けれど、飼い主は少しも面白くなかった。
こんな全くヒネリの効いていないパフォーマンスで笑いを取れると思ったら大間違いである。
一緒にこの姿を見ていたリン君の飼い主さんは、さすがに微妙な笑いを保っていたが、
「あ、ここね。前にしがみついていた岩と全く同じ場所ですよ。」
ハルさんが決死の表情で岩に爪を立てる様子を横目で見ながらカミングアウトしたところ、

「え? へ、へぇー。ハルちゃん・・・・・・(ってワンパターン?)。」
と、絶句しておられた。
こうしてハルさんには、
「この犬、だいぶ残念な感じがする」
という哀れみのこもった目が向けられることになったが、当の本人は全く気にするそぶりも無く、天然まるだしで走り回っていた。
しかし、やはり、いくら残念な犬とはいえ、それなりの警戒心は持っているらしく、行く先々で飼い主が深みに嵌めようとしても、なかなかハルさんはノッてこなかった。
浅瀬では元気一杯だが、少しでも段差があるとすぐに引き返す。

ハルさんにとっては、渾身のパフォーマンスを軽く流されたことがショックだったのかもしれないが、飼い主としては、やっぱり何かしでかしてくれないと、わざわざ遠くの渓流まで来た甲斐がない。
そんな(悪徳)飼い主が、このまま何事もなく終わってしまうのではないかと、そろそろ焦りを感じてきた頃、
ついにハルさんが嵌った。
(というか、もちろん嵌められた)

一瞬の気の緩みがあったのか、それとも再び芸犬の血が騒いだのか。
ハルさんは飼い主の後を追って、川の中ほどにある平らな岩の上に行こうと試みたのだが、見事にはまっていた。
ようやく辿り着いた小さな石の上でハルさんはしばらく佇んでいた。
リン君の飼い主さんが撮影してくれた写真を見る限りでは、まるで鮭を狙う熊のようにも見える。

何だか精悍な雰囲気すら漂っている。
けれど、ハルさんは所詮ハルさんだった。
つるっと足を取られて転倒していた。

思わぬアクシデントにハルさんの表情が強張る(というかしょぼくれる)。

飼い主は、そのおぼつかない足取り、しょぼくれた表情に、思わず笑いを誘われた。
大笑いとまではいかないものの、今後の行動に期待を抱かせるだけのポテンシャルが感じられた。
ところが。
岩場へ辿り着くまでの道のりでハルさんは精魂尽き果てたようであった。
その後は岩場の上に陣取り、岸辺に戻った飼い主がどれほど呼ぼうが足に根が生えたように動かなくなってしまった。
もちろん、できることなら、飼い主のところへ戻りたいのだろうが、ハルさんにとっては過酷な道のりを再び歩みだす決心がつかないようであった。
そこへ、見るに見かねたリン君の飼い主さんがリン君を連れてやってきてくれた。

リン君はハルさんが踏み外した川を軽々と渡り、岩場に到着する。
そして、おもむろにこちら側の岸へ歩みだした。
またしても軽快な足取りで川を渡っていく。
その背中は「ホラ、こうすれば簡単だよ」とでも言っているかのようだった。
ところが、究極のチキン野郎、ハルさんはその背中をただぼんやり眺めているだけであった。

リン君よりは(ほんの少し)足も長いはずなのに。
体力だってあるはずなのに。
カエルだってオケラだってアメンボだってみんなみんな生きているのに。(←関係ない)
業を煮やしたリン君の飼い主さんがオヤツ(グリニーズ)を咥えさせて、無理矢理連れ出すという荒療治に出たが、ハルさんは何とかオヤツだけを食べようと必死の形相で踏ん張っていた。

ハルさん、どれほどテンぱっていようが食に対する執念は衰えないみたいだ。
そのパッションをほんの一部でも勇気に変えることができれば、こんな川くらい悠々と渡れると思うのだが・・・・・・。
リン君なんて、川の流れの中でオヤツを食べるという芸当まで見せてくれたのに、ハルさんは単に「食す」だけであった。
我が愛犬ながら、つくづく残念な犬だと思う。

そして、いたずらに時間がだけが過ぎていく。
岩場へ渡った当初こそ、多少の笑いを生んでいたハルさんのチキンぶりであったが、それ以後あまりにも動きがないため、徐々に場の空気がシラけてきた。
同じような写真(しょぼくれた顔写真)しか撮れないため、カメラマン達が持つカメラもだらんと下を向くようになった。
寒い。
空気が冷たい。
「ハル、ここで何かせんと、(芸犬として)終わってしまうで!」
愛犬に向かい、必死に目で訴えかけたが、ハルさんはリン君の飼い主さんが持つオヤツにしか目が向かないようであった。

そして、そのまま冷ややかな時が流れる。
ハルさんは何もしなかった。
いや、できなかった。
そんなハルさんの醜態をジッと眺めていると、あるピン芸人の顔が脳裏に浮かんできた。
山○邦正。
いまや、ハルさんのヘタレっぷりは、当代一のスベリ芸人の域にまで達したかのようであった。
ここで、ようやく飼い主は重い腰を上げた。
ヘタレ度合いがここまで進んでしまうともう後戻りできない。
飼い主に出来ることは、このヘタレをイジることだけなのだ。
ハルさんのためにも。
私たちのためにも。
そろそろと岩場へと近づく飼い主をハルさんはまるで救世主のように仰ぎ見ていた。
「やっと助けてくれるのね。私、信じてた。待ってたの!」とでも言わんばかりに。

これほど真摯なハルさんの眼差しを見たのは久しぶりであった。
ここまでハルさんを追い詰めてしまったのは、きっと飼い主の責任だろう。
「ハル、長いことほったらかしてゴメンな」
「最後にイジったるから堪忍して」
小さな声でそっとつぶやくと、私はハルさんをそっと抱えあげ、

川に放流した。

ようやく岸辺に戻れるとばかり思っていたハルさんは大慌てだった。
四本の足が竜巻のように回転を始める。
その足の動きはもはや犬掻きと呼べるような代物ではなかった。
まるで、商店街に古くからある玩具屋の店先でウィンウィン動いている犬のぬいぐるみ型ロボット(なつかしい)を水槽に入れたようだった。

けれど。
ほどなくして、高速回転を続けていたハルさんの足がピタリと止まった。

ついに。
ようやく。
ハルさんは、普通に足が届く程度の場所に放流されたことに思い当たったようだった。
その(短い)足ですらしっかりと川底を捉えることができるくらいの浅瀬でハルさんは見事に溺れていた。

ハルさん、ひょっとしたら、邦正を超えているのかもしれない・・・・・・(涙)。
そして、そんな邦正の試練はまだ続くのであった。
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