特に、飼い主の片割れを駅へ迎えに行った際に、どれほど気がつくのが遅いかについては、過去記事を読み返してみると3度も書いている。
過去記事その1
過去記事その2
過去記事その3

それほど飼い主としてはハルさんの鈍さに対してやるせない思いを抱いていたのであるが、ハルさんもやはり生物である。
駅への出迎えを繰り返しているうちに、いつどこで飼い主に出会うか分からない、ということを学習したのであろう。
飼い主に似たシルエットの人影を見つけると、ジッと穴の開くほど注意深く観察するようになった。

もちろん、鈍感犬のことだから全くの他人を飼い主と間違えて走り出そうとすることも度々だが、このハルさんの努力(?)の甲斐あって、飼い主をスルーする率はガクンと低下したのである。
しかし、こうなると面白くないのが飼い主のほうである。
なぜ?と思われるかもしれない。
愛犬が賢くなったのならいいじゃないかと。
もちろん、愛犬が飼い主の姿を見つけて走りよってくる様が飼い主冥利につきることは確かである。
ところが、ハルさんときたら、自分の力で飼い主の姿を見つけた時は、その後の逢瀬の時間が短いのだ。

時間にしてみると、
「あら、お帰りなさい。私ったらこんなに早く飼い主の姿を見つけちゃうなんて、天才じゃないのかしら。ねえ、そう思わない?ウフ」
↑のセリフを音読みしたくらいの時間を経過すると、最後の「ウフ」のタイミングで飼い主の足元を離れ、周囲の匂いを嗅ぎだす。

本当にその鼻で匂いが嗅げているかどうか知れたものではないし、そもそも飼い主の姿を見つけるまでに数限りない誤爆をしているのだから、それほど偉ぶるものでもないと思うのだが、自力で飼い主を見つけた時のハルさんの対応はなんだかそっけない。
だが。
飼い主の姿に目が止まらずスルーしてしまった時のハルさんの対応は、自力で発見した時と比べると数十倍の熱烈さである。

「いやいやいやいや。ちょっとちょっとちょっと、もしかして私が飼い主の姿を見過ごしたとか思ってない?まさか、そんなことあるわけないじゃない!私は犬よ、犬。聴覚はヒトの4倍、嗅覚に至ってはヒトの1億倍もある犬なのよ。そんな私が華麗にスルーしてしまうなんてことはありえないのよ。え?食欲だけはヒトの1兆倍あるって?何言ってんのかしら?冗談は顔だけにしてほしいわ」
↑を音読みしたくらいの時間、飼い主にまとわりついた後、ブルブルと体を振って気を静めたかと思うと、
またもや寄ってくる。

「ねえねえ。なんだか最近、あなたたちがわざと私に見つからないように姿を隠しているような気がするのよ。いや、もちろん、姿が見えなくたって私は犬だから、どこに隠れていてもたちどころに見つけてしまうのよ。でも、おかしいと思わない?こんなに可愛い愛犬が迎えに来ているというのに、わざわざ姿を隠すなんて。おかげで今日は通りすぎてしまっ・・・・・・、いや、通りすぎるフリをしちゃったじゃないの。そうそう、フリをしただけなの。私って、こう見えて演技派と言われているよ。ねえねえ。どうして『今日はよう見つけんかった』とか『お馬鹿』とか言ってるのよ?こんなに甘えてやっているのに、おかしいわね。もうちょっと媚びといたほうがいいのかしら?仕方がないわね。ホラ、お尻よ。桃尻よ。いっぱい撫でて今日のことは忘れてよね」

↑のセリフの中には「桃尻」とか不適切な表現が含まれているが、これくらいの長時間、ハルさんは飼い主にべったりしてくるのである。
実際、これほどまでに、ハルさんに見つかった時(←既にこの表現が不自然だが)と、見つからなかった時の歓待ぶりが異なるのだ。
折角、迎えに来てもらったからには目一杯甘えて欲しいのが飼い主心というものである。
こうして、飼い主達はなんとかしてハルさんに発見されまいと、電柱の影に隠れたり、人ごみに紛れたり、他人のフリをしたりと、様々な方法を駆使してハルさんの前を通りすぎようと試みるようになってしまった。

対するハルさんはというと・・・・・・、
いつでも探しているよ。どっかに飼い主の姿を。
公園の中、

路地裏の溝、

そんなとこにいるはずもないのに・・・・・・。
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