
恐らく、コギ飼いの人以外は知らないことだろうけれど、コーギーには種類が2つある。
ハルさんが属するのはペンブロークという種類で、日本で見かけるコーギーは圧倒的にペンブロークだ。
一方、ワカちゃんの属するカーディガンという種類は、かなりレア物である。
ワカちゃんを含めてカーディガンを見かけたのは数えるほどしかない。
そんなワカちゃんの姿を認めると、ハルさんは一目散に駆けていく。
一方、ワカちゃんもハルさんの姿を見つけるとすぐに駆け寄ってくる。

二匹は本当に仲がいいのだ。
けれど、そこには明白な序列というものが存在する。
ワカちゃんはもうすぐ3歳になるため、ハルさんより約1歳年上だ。
ハルさんより体力があり、そして頭もいい。
ワカちゃんと絡むハルさんの様子を見ていると、ハルさんがワカちゃんのことを
「ワカ姐さん!」
と慕っているような気がして仕方がない。

他方、ワカちゃんのハルさんに対する態度はというと、これはもう完全に舎弟扱いである。

まず間違いなくハルさんになら何をしてもいいと思っているはずだ。
だが、ワカちゃんは犬世界の駆け引きに長けているので、こんなに激しくぶつかるのはハルさんだけである。
大きな犬に絡まれるとすぐにお腹を見せるし、

小さな犬には手加減ができる。

対犬関係ではパーフェクトともいえる能力を持っているワカちゃんなのだ。
だからこそ、ハルさんもやられるがままになっているのだろうか。
ハルさん、別に気が弱い犬ではないので、ここまでされるとキレてもおかしくはないのだが、ワカちゃんにだけは逆らう様子を見せたことがない。
なんと麗しい上下関係か。

もちろん、賢しいワカちゃんのことなので、ハルさんに対しても押し一辺倒ではない。
時にはお腹をみせてハルさんを誘う。
「ハルちゃん、おいでよ!遊ぼうよ!!」と。

だが、ハルさんもバカではないので警戒は解かない。
「姐さん、何か怪しい。そうやってまたウチをいたぶるつもりやろ」
と軽快なスルーを試みるが、

結局、根がバカなので、突撃してしまう。
(ククッ、かかったわね)とワカちゃんがほくそ笑んでいることも知らずに。

そしてやられる。

メタメタにやられる。

こうしてこの日、思いがけなく出会ったワカちゃんに目一杯遊んでもらい、ハルさんだけでなく飼い主夫婦も大満足であった。
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・・・・・・その読みは当たっています。
次回の共働きコーギーは「ぼくたちの反抗」をお届けする予定です。