その間、ハルさんは数々の事件(例えばこんな事件やあんな事件)に容疑者として名をあげられてきたが、常にすんでのところで立件を免れてきた。
「ん?私が何かしたかしら?」と首をかしげながらこちらを見つめるハルさんの姿に、捜査当局の面目は丸つぶれである。

今年こそ必ず、冷や飯を食わしてやる!といきりたつ当局にとある事件の通報があったのは、そんな矢先の出来事であった。
なんと、我が家の中でバラバラ殺人事件が発生したというのである。
ガイシャは「リゾナーレ・カエルさん」。
小淵沢出身のセレブである。(出自はコチラ)
少々、顔のバランスは崩れているが、パリス・ヒルトンとも親友だったという彼女の体は、自慢のくびれ部分で真っ二つに切断されていた。

「あらあらかわいそうに。物騒な世の中よね」

と、そ知らぬふりをするハルさんであったが、捜査当局はハルさんを徹底的にマークすると同時に、綿密な科学捜査を進めることにした。
その結果、遺体に残された唾液から検出されたDNAとハルさんのケツ毛から採取されたDNAが一致したのである。
こうして、幾度となく煮え湯を飲まされてきたハル容疑者を意気揚々と逮捕した当局であったが、容疑者を尋問したところ、意外な証言が飛び出した。
「なんていうかさー。ワタシもセレブだからさー。リゾとは結構仲良くしてたわけ。でも、ある日、リゾとふざけあっていたら、腰のあたりがちょっとやぶけちゃったのよ。そしたらさー、変なオヤジが来てー、リゾの破けたところに美味しそうなオヤツを入れていくのよね。ワタシもこう見えてやっぱ犬じゃん。ま、ただの犬じゃなくてセレブ犬なんだけど、オヤツを前にしたら我慢なんてできるわけないじゃない。で、夢中でオヤツを食べ終わった後に、ふとリゾのほうを見たら、リゾの体が真っ二つになっていたのよ。え?ワタシがやったって?知らないわよ。ワタシはオヤツを食べただけなんだから。不可抗力ってやつよ、不可抗力。っていうか、本当に悪いのは、オヤツを入れた変なオヤジじゃないの?なんか、首からでぃーはちじゅうとかいうカメラぶらさげてたわよ。アイツを早く逮捕してよね。そうすれば事件もきっと解決するわ!ハア、なんかココにいるのも飽きてきたわー。カツ丼食べたら帰るから、早く持ってきてよね。大至急で!」
・・・・・・この証言を元に再捜査が実施されることになった。
こうして、被害者の身体に付着していた指紋から真犯人「飼い主Y」が逮捕され、ハルさんはまたもや釈放されることとなったのである。
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ああ、またしも飼い主の犯行が暴かれてしまいました。
すべての事件に関わりながらも法の目をかいくぐる頭脳犯ハル容疑者に賞賛のテチと同時に、セレブはカツ丼なんか要求しないだろ!と突っ込みのテチをお願いします。
