
ところが、ハルさんは、同じくらいのサイズの犬に狩られるのは大好きだけれど、肉弾戦があまり得意でないらしく、ほかの犬が取っ組みあいを挑んできても避けたがる傾向にある。
ハルさん、どうやらいっぱしのレディーのように非力らしい。
しかし、そんなハルさんにも対等に渡り合ってくれる心優しい犬というのは存在する。
この日はそんなハートフルコーギーのコジロウ君が途中からやってきてくれた。
こうして、新年初ドッグランにちなみ、コギ相撲初場所が開始されたのである。
まずは立会い。

ハルさん、いきなり弾き飛ばされてしまった。

完全にパワー負けしているうえに、アタマを強打でもしたのか、目がラリッている。
しかし、ここからが執念深いオンナ、ハルさんの真骨頂である。
追いかけてくるコジロウ君の一瞬の隙をつき、

足を狙いに行く。

相撲では「足取り」と呼ばれる立派な技である。
ハルさん、意外とテクニシャンなのだ。
そしてそのまま、体勢の崩れたコジロウ君を押し出しにかかる。

押し出す。

さらに押し出す。

・・・・・・どこまで行けば気が済むのだろう。
ここはドッグラン、土俵などないのだ。
まだ土俵がなかった時代の相撲は、どちらか一方の足裏以外の体の一部が地面につくまで勝負が繰り広げられたという。
とすれば、土俵のないこの場では、いにしえの相撲がくりひろげられるべきである。
しかし、帰ってきたハルさんは、「私の勝利よ!」とばかりに満面の笑みをたたえていた。

自らの勝利を盛大にアピールし、場の雰囲気をなし崩し的に「ハル勝利」へもっていこうという算段なのか。
ハルさん、策士である。(ずる賢いともいう)
だが、そんなハルさんのアンフェアな行為に怒りの炎を燃やすコジロウ君はハル目掛けて頭突きを繰り出し、まだ自分は終わっていないことを周囲に見せつけたのだ。

コジロウ君の執念も天晴れである。
こうして、大きな遺恨を残した両者の再戦が決定した。
再び、立会いからぶつかり合う両者。
やはり、パワーはコジロウ君のほうが断然勝っている。
ハルさんは再び弾き飛ばされた。

そして、体勢を崩したハルさんの上に馬乗りになるコジロウ君。

その表情はまるで阿修羅の如き。
コジロウ君、今度ばかりは本気と書いてマジモードである。
雌犬といえど容赦はしないのだ。
だが、人も犬も、頭に血が上っていると隙が生じてしまうものである。
馬乗りになったのはいいが、効果的な技を繰り出せないコジロウ君の動きを冷静に見切ったハルさんは、するりとコジロウ君の下から抜け出すと、

投げをうった!

見事な下手投げが決まり、「
おめでとう、ハルさん!
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なんだか本当にあったことのように書いていますが、実際は、走り疲れて寝ているコジロウ君にテチッとネコパンチをくらわしただけです・・・・・・。
ハルさんがコジロウ君よりスタミナがあるため、こんなシーンが撮影できたわけで、そういう意味ではハルさんの粘り勝ちかもしれません。
いずれにせよ、飼い主の手により相撲を取ったことにされてしまった二匹のコギさん達に、お疲れ様のテチをお願いします。
