「釣り」と「犬」は何だか相容れないモノのような気がするが、何となくハルさんを連れて行く。
ご老人が和犬を連れて波止場で釣りをしている光景は幾度かみたことがあるし、ハルさんを愛人の中の一匹として従える「垂れ耳コーギーのひとりごと」のクース君も、以前、釣りに行っていたから、まあ大丈夫だろうと軽い気持ちで出かける。
ところで、この日、ハルさんは(穴の開いた)女豹ルックをさっそうと着こなしていた。
以前、そんなの縫えばいいじゃないかと皆さんにお叱りを受けたあの服である。
だが、この穴が開いた感じ、破れたジーンズみたいで案外イケるのではないかと、そのままワイルドに着こなしていただくことになったのである。
もちろん、縫うのが面倒くさかっただけであるが、それは言わない約束だ。
さて、肝心の釣りのほうは、釣り場到着がお昼頃になったこともあり、さっぱりであった。
先に到着していた友人夫婦はたいそう景気よく釣っていたみたいだったので、今晩のオカズを収獲しなければいけないというプレッシャーはなく、あくまでのんびり釣ることにした。
そして、ようやくMが釣り上げた小アジがこれ。
魚の動きにあわせて揺らぐ水の流れを撮影するのが楽しくてカシャカシャ写真を撮っていると、ハルさんも興味津々でやって来た。
例のごとく小アジをガン見する。
・・・その後間もなく、ハルさんのガン見に耐え切れなくなった小アジは死亡した。
現行犯で即刻逮捕されたハルさんであるが、「弁護士を呼びなさい。話はそれからよ」との一点張りを続け、結果、ガン見と死亡との因果関係の立証が困難であるとして釈放されることになった。
(この辺のくだりは私がファンである「本日の小夏さん」にあるmayunbiさんのネタをパクッてます。ごめんなさいよ!)
こうして「小アジ殺人事件」は釈然としないままその幕が下ろされたのだが、取り調べにあたった飼い主Yは捜査の疲れがドッとでて椅子に腰掛けたまま眠りについてしまった。
無罪放免を訴え続けたハルさんを椅子にくくりつけたまま。
こうして、他の場所で釣っていた友人夫婦達が帰ってきたときには、まるで家庭内別居中のような飼い主と愛犬の姿が目撃されてしまったのである。
「なんか、この二人仲悪いんと違う?」
と妻Mにもダメ出しをされ、さらに、まだ一匹も魚を釣っていないことに焦りを覚えた飼い主Yは真剣に釣りに取り組むことにした。
だが、潮の流れが悪くなったのか、魚は全く回遊してこず、一匹も釣れない。
周囲の人も誰一人釣っている様子がないので、自分だけが悪いわけではないと思うのだが、背後で何やらイチャイチャしている様を見せ付けられ続けた挙句、納竿となった。
何だか負け犬みたいでとても悔しい。
そして、友人宅で本日の釣果を確認し、調理することになったのだが。
アジの群れ
カマスに混じるシイラ
当然、自分が釣った魚などそこにはいない。
けれども、情け深い人々のおかげで料理は人数分用意され、美味しくいただくことができた。
そうして、これが友人宅のハルさんであるが、
何やら疲労感がにじみ出ているのは気のせいではない、と思う。
朝はこんなに元気だったのに。
この日、ハルさんは波止場のアイドルとなり、大活躍していたのだ。
その話はまた後日。
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