以前にも書いたが、平日夜のハルさんの散歩といえば、「飼い主の出迎え」が殆どである。
ちなみに、上の写真は飼い主を出迎え中のケツショットだ。
決して上から「オラオラオラ、今日も気が付くの遅かったやないけ」と押さえつけているのではなく、ハルさんが勝手に潜り込んでこんな体勢になっているのである。
なお、ウチではたいてい私の方が遅く帰るので、夫がハルさんを連れて駅まで来てくれることが多い。
まあ朝の出勤時刻からして1時間半も違うのだから、これはこれで仕方がない、と思う(←言い訳)。
ところで、いつも夫(とハルさん)のほうが早く駅に着くとは限らない。
タイミングによっては私のほうが早く駅に着くこともある。
そんなときはとくに駅で夫(とハルさん)を待つことなく、のんびりマンションまでの道を歩き出す。
お互い通る道は同じなのだ。いずれどこかで会うことになる。
そんなわけで先日、私はマンションまでの道をのんびり歩いていた。
駅からマンションまでは、ほぼ住宅街である。街灯はあるが、暗がりも結構ある。
その暗がりに差し掛かったあたり、5メートルほど先の街灯の下、たすきがけのバッグを持った男性と、車高の低い生物のシルエットが見えた。
夫とハルさんである。
私との距離が3メートルほどに縮まったとき、夫が私に気が付いたのがわかった。
いつもの私ならここで「ハルちゃ〜ん」と駆け寄っていくところだが、今回はなんとなくイタズラ心が働いて、電柱の影に隠れてみた。夫も私の意図を察してくれたらしく、黙ってハルさんと歩いてくる。
犬というのは視覚があまりよくないらしい。が、その分嗅覚が発達している。
それに、なんといっても犬には気配を感じる獣ならではの潜在能力があるはずだ。
いくら隠れていようと、気配かニオイでワタクシを感じていただけることは間違いなかろう。
で、電柱の影からハルさんに熱い視線を送っていたのだが。
ハルさん、(ワタクシの潜む)電柱をスルー。
こちらの気配をカケラも感じていただけなかった (涙)。
ハルさんは
「もうすぐ駅ね!アタシ、思いっきりMをお迎えするつもり!」
といった雰囲気で、むしろテンションを上げて駅のほうへ駆け抜けていった。
その心意気は立派だし、とても嬉しく思うのだが、電柱の影で脱力し、しゃがみこんでしまったワタクシのブロークンハートはいったいどうしてくれるのか。
その後、難易度を下げて何度かチャレンジしてみたが、結局心の傷をいたずらに広げただけだった。
電柱の前に出張ってみても、1メートルの距離をすれ違ってみても、ハルさんの
「もうすぐ駅ね!アタシ、思いっきりMをお迎えするつもり!」
は変わることがなかった。
結局、ハルさんは真正面からラヴビームを送ってくれる人間にしか反応しないようである。
だとしたら飼い主って、一体何なのだろう。
犬の能力を疑うべきか、飼い主への愛情を疑うべきか、なんとなく途方にくれてしまう飼い主であった。
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ハルさんはきっと鈍いだけで飼い主への愛情は(たとえかすかでも)持っているはずと信じる飼い主夫婦に慰めのテチをお願いします。
