前回は出場しなかったが、参加した皆の楽しそうな様子を見て、次はぜひ出場したいと思っていた競技で、夫はとても張り切っていた。
ワンコのイベントというのは、ワンコが走ったり飛んだりしている姿を見るだけでも十分に楽しいのだが、共に走る飼い主たちの必死な姿がまた楽しい。まあ、ワタクシも人のことはぜんぜん言えないが。
とにかく、障害物競走というのは、そんな飼い主の熱いパッションがもっとも強く、そして激しく炸裂する競技なのである。
では軽くレース内容をご説明しよう。
飼い主と愛犬が協力して乗り越えなくてはならない障害は以下の5つである。
@ ラケットボールだワン!
A 華麗にシュートだワン!
B ぐるぐる大作戦だワン!
C 豆粒つかみだワン!
D ハードルだワン!−第2章−
※各障害の名前は私が勝手に付けたので、あまり気にしないようにお願いします。
@ ラケットボールだワン!
その名のとおり、ラケットにボールを乗せて(人が)走るわけだが、リードを持った手でラケットを持たなくてはならないので熱いソウルを持った大型犬には不利な障害かと思われる。
夫(とハルさん)、無事に乗り切る。
A 華麗にシュートだワン!
プチサッカーボールを蹴って進み、ゴール(←ペットショップの買い物カゴ)にシュートする。
ボールは5個しかないので、ボール好きのワンコが咥えていってしまったりして、それなりにタイヘンそうだった。
ハルさんはボールにあまり興味がないので、ここも無事クリアする。
B ぐるぐる大作戦だワン!
飼い主とワンコが赤いポールの周りをぐるぐると3周まわればいいだけの、いたってシンプルな障害だが、実はココがもっともドラマを生んだ場所であった。
まずはリンくんのぐるぐる。
普段からしつけ教室に通っておられるだけあって、リードさばきも素敵である。
次にクースくんのぐるぐる。
さすが癒し系ナンバーワンコギ、なんだか心温まる風景である。
そして、同じ緑チームのコギさん、コジロウくんのぐるぐる。
自分の体重から来る遠心力にやや拒否反応があるが、無事クリア。
そしてクースくんのマブダチ、ムクくんのぐるぐる。
大回りすることで、コギの体重による遠心力問題を見事にクリアしたすばらしいぐるぐるであった。
ここでのぐるぐるは、飼い主のテンパリ度と遠心力が比例するので、下手するとワンコがマジで宙を舞う。
実際、何匹か宙を舞ったワンコがいたのだが、その中でも同じチームのトイプーちゃんがスゴかった。
2周目を過ぎたあたりから、飼い主さんが紐のついたぬいぐるみを振り回しているようにしか見えなかった。
ハルさんの様子を一通り撮影し終わって、のんびり歩いている(油断している)最中の出来事だったので、思いのほかツボを突かれて笑いに打ち震えながら自分の場所まで戻ってくると、
「すごかったですねー」
と、コジロウくんの飼い主さんが笑っていた。
「ですよね!あんなのアリなんですかね〜。トイプーちゃん、タイヘンそう……プピッ」
「?……Mさんのダンナさんも似たようなもんでしたよ?」
「へ……?」
実はハルさん、トイプーよりはるかに長く重い体で宙を舞っていたらしいのだ。
この競技のときは、1障害ごとに写真を撮りながら移動していたのだが、華麗にシュートだワン!と豆粒つかみだワン!の間には木が生えていて、移動に手間取った。そのせいでぐるぐる大作戦だワン!は写真を撮るどころか見てさえいなかったのである(涙)。
ぐるぐるは写真に撮りにくいし、どうせ大したことは起こらないかと思って油断していたのが敗因であった。
後で、目撃証言をいくつか重ね合わせてみると(←色々な人に「ダンナさんすごかったですねー」と言われた)、ハルさんはどうやらハードルだワン!(第1章)より華麗に宙を舞った、というか完全に振り回されていたらしいのだが。
「えっ!?写真、撮ってへんの?」
「うん……、ご、ごめん夫、なんか色々忙しくってさアハハハハ」
「そんな!せっかくがんばったのに……」
「えー?だってそんな
そういうことは事前に言うといてくれんと」
「チッ(……使えねー……)」
「え?なにか言いました?」
「や、な、なんでもないなんでもない……ハァ〜ア(←これみよがし)」
「もう!わかった、わかりました!画像があればええんやろ、画像が!」
ということで、半ば逆ギレ気味に私が書いた絵がこちら。
「……」
「な、なんやのん!ちゃんとハルちゃんと同じとこ白く塗ったがな!」
「……」
「ジョーも書いたやん!」
「……グスッ」(←泣いている)
あわや夫婦の間にマリアナ海溝が生まれかけたところに、ムクくんの飼い主さんから奇跡のような一枚が届く。

ハルさんが、まさにこれから鳥になろうとしている一瞬を捉えたものである。
既に前足が浮いている。
観客席のほうへ「助けてー」と必死の訴えをしているようにも見えるが気のせいだろう(たぶん)。
ムクくんの飼い主さん、ありがとうございました。おかげで夫婦の海溝は埋められましたよ!
C 豆粒つかみだワン!
リードを持った手で豆粒を掴んで皿に入れる競技である。
こんな感じで積極的に飼い主さんに協力するワンコもいたが、
ハルさんは、先ほどのぐるぐるショックからまだ立ち直っていなかった。
D ハードルだワン!−第2章−
豆粒つかみだワン!の間、基本的に犬はじっとしているので、受難は終わったとばかり思っていたハルさん。
引きずられるようにして走らされたと思いきや、目の前にそびえ立つハードルを前にしたところで、とうとう夫に向かって「ギャン!」と一声吠えたらしい。
ハルさんの吠え声なんて久しく聞いていないが、夫に引きずりまわされて、よほどテンパっていたのだろう。それでも、ハルさんはハードルを飛び越えていった。自分の犬ながら健気だと思う。
そして二人は無事に(?)ゴールした。
リレー形式だったので、順位はよくわからなかったが、それなりに速かったのではなかろうか。
緑チームは、最後の最後でアンカーが一人かわして4位(5チーム中)。
私とコジロウくんの飼い主さんの
「ビリはイヤー!!」
という熱い
しかしまあ、頑張ったところでハルさんの属する緑チームの得点はこんな感じなので、どうでもいいといえばどうでもいいのだが。
というわけで、ハルさんの辛く厳しい障害物競走は幕を閉じた。
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ということで、ハルさんの受難「ひとりメリーゴーラウンド」終了です。
ひっぱったわりに大したことありませんでしたね、すみません。
またひとつ受難を乗り越えたハルさんに、お疲れさまのテチをお願いします〜。
