「ボロ雑巾のように」というのは割とよく使われる比喩のような気がするが、このときのハルさんは体中にハロー君の涎がまとわりつき、正にボロ雑巾状態であった。
ちなみにハロー君にも同じだけの涎が付いている。黒毛だけにキラキラとまぶしかった。
心身ともに疲労が蓄積しているハルさんをリフレッシュさせるには、やはり大好きな水場しかない。
ボロ雑巾も水で洗えば(少しは)綺麗になるというものである。
そんなわけで、犬の牧場の係員さんに「リバーランドに行きたい」と申し出る。
犬の牧場にはリバーランドという、川遊びが出来るところもあるらしいのだ。
このリバーランド、犬の牧場のすぐ近くにあると思いきや、車で10分ほど走り、そこから5分ほど歩かなければならなかった。
だが、リバーランドの係員さんが休みらしく、オーナー自ら先導してくれるというVIP待遇(?)を受けて到着したそこには、川幅20メートルほどの清流が悠々と流れていた。
オーナーさんの説明によると、ここリバーランドの出入り口は一箇所、川の両側は切り立った山の斜面で犬が逃亡する可能性はかなり低いとのことだった。
じゃあ、あとは好きにしてくださいと言われ、早速ハルさんを放牧してみる。
既に川には先客のラブラドールたちがいたので、さらに上流を目指し、少し歩くと開けた場所に出た。
大自然に包まれて、大好きな水浴びが出来るなんて最高の贅沢じゃないか、ハルさん。
しかし、ハルさんは、水際までは喜んで行くものの、そこから先へなかなか進めない。
別に、そんなに流れが急なわけでもないし、特に水深が深いようにも思えないのだが、短足のハルさんにとっては、水際以外は足が届かないようだ。
一度も泳いだことがないハルさんにとって、足が届かない場所は未知の場所。
そこへ踏み込むだけの勇気は持ち合わせていないハルさんの様子を見ていると、思わずケツを押して、川にはめてしまいそうになる。
妻Mとハルさんが場違いな会話をしているときなどは、二人ともはめてやろうかと思ったが、
そんなことをしてしまうと、家庭内で村八分にされてしまうことは明白なので、オトナらしくぐっとこらえる。
けれど、ハルさんは活動場所が狭いためか、あまり面白くなさそうだ。
やはり、他の犬がいないと気分が乗らない体質なのだろう。
下流のほうが浅瀬が広そうだったし、ハルさん的にはもてあますサイズだけれど、ラブラドールもいたし、というわけで、下流へ移動することにした。
すると、短足を必死に回転させながら護岸をダダッと駆け下り、飼い主を置いてきぼりにしてラブちゃんのところへ向かっていくではないか。
まあ、すぐに追われるハメになったけれど。
ハルさん待望の下流、そこには、4歳のラブラドールと、3ヶ月(!)のパグがいた。
下流は浅瀬が広いし、
遊べる(追われる)犬もいるしで、ハルさんのテンションはうなぎ上りである。
パグちゃんも3ヶ月という幼齢ではあったけれど、ハルさんと絡む意気込みで魅せてくれた。
だが・・・・・・、何か物足りない。
これではいつもドッグランの池で遊んでいるのと変わらないではないか。
折角、
やはり、ここはハルさんに初泳ぎを披露してもらわないと、遥々やって来た意味がないのではないか。
そう意見が一致した飼い主夫婦は、オヤツでハルさんを深みに誘導することにした。
だが、水中に入る用意など何もしてこなかったので、飼い主を代表して私(Y)がブーツを脱ぎ捨て、水中へと足を進める。
そして、おもむろにハルさんの鼻先へと大好きなオヤツをちらつかせ、泳がせようとしたのだが・・・・・・。
足がつくギリギリまではやってくるものの、一向に泳ぐ気配を見せないハルさん。
オマエの食べものに対するパッションはその程度だったのか!!
「んー!んー!んー!」と怒り心頭に達した飼い主はなりふり構わず実力行使に出ることにした。
こうして、ハルさん第四の試練「強制遊泳」がその幕を開けたのである。
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「強制」と名がついている以上、もはや「遊泳」ではない気もしますが、この後ハルさんがどうなったのか、期待感を込めてテチッとクリックお願いします。



