「いやいや、まさか。単にワルなだけですよー」と反応したものの、心の片隅では、
もしかして、天才犬の素質アリ?
という希望的観測が芽生えつつあったことは否めない。
しかし、そんな飼い主のささやかな想いを粉々に打ち砕く出来事を、数日前に目撃してしまった。
舞台はハルさんの城(ケージ)がそびえる我が家の和室。
ハルさんが目ヤニを取られるあいだ大人しくしていたご褒美に、「スリー、ツー、ワン!」とドッグフードのかけらを放り投げると、少々気合が入りすぎていたハルさんは目測を誤り、フードのかけらを鼻先で弾き飛ばしてしまった。
胃腸から先に生まれてきたと伝えられるハルさんは、当然、かけらを必死の形相で探しまくる。
だが、こういうときは、えてして飼い主のほうが先に見つけることが多い。
ハルさん、犬なのに五感が鈍いのである。
このときも、ハルさんの鼻っ面でバウンドしたフードのかけらがハルさんのトイレ(部屋)の隅に転がっているのを飼い主が先に発見する。
さて、どうするハルさん?と愛犬の動きを見つめていると、部屋中をクンクンした挙句、ようやくケージの外側でトイレに転がる「カケラ」を見つけることができたようだ。
見つけた途端に必死に舌を伸ばしてフードを食らおうとするハルさんだが、ケージの柵に阻まれて届かない。
ハルさんの鼻先しか柵内に入らないのだから当然無理に決まっている。
しばらく奮闘した後、ハルさんも舌が届かないことを悟ったようである。
しかし、諦めきれないのか、ケージと壁との隙間に挟まったまま、じっと「カケラ」を見つめだした。
あの・・・・・・ケージの中に回り込めば、易々と食べることができるんですけど。
いつも通っている扉は大きく開かれていますよ、ハルさん!
だが、ハルさんは「カケラ」を穴の開くほど見つめたまま動かない
この哀愁を漂わせた背中・・・まるで我が家の和室がカサブランカと化したかのようだ。
しかし、「カケラ」が鎮座しているのは、ハルさんのトイレである。
一日に何度も通う場所だ。
しばしばハイエナの子と間違えられるハルさんが見逃すわけがない。
きっと、すぐに気がついて食べているだろうと高をくくっていたのだが・・・・・・。
翌朝の図。
またもや「哀愁でいと」である。
ふくみみさんから頂いたネームプレートに付いたデフォルメハルさんも呆れている。
結局、ハルさんが「カケラ」を食すことができるまでに、24時間もの時間が費やされた。
その間、彼女は何度トイレに行き、何度手ぶら?で出てきたことか・・・・・・。
一瞬でも、ハルさんを「天才犬?」と誤解した自分が恥ずかしい。
昔飼っていたハムスターのほうが早く「カケラ」にたどり着いただろうと思うのは私だけだろうか・・・・・・?
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いつもテチをありがとうございます。
おかげさまで、なんと4位になってしまいました。
ハルさん、もうちょっと頑張れ!アタマを使うんだ!と励ましのテチをお願いします。
