(O・ヘンリ『最後の一葉』)
先日我が家の観葉植物ウンベラータ、通称「美香さん」がこんな状態になってしまった。
もはや人間に癒しをもたらす観葉植物とはいえない哀れな姿である。
植物とはいっても我が家で暮らした年月はハルさんより長い。
見るたびにスー(『最後の一葉』のヒロイン)の気持ちになってぶつぶつと上の台詞をつぶやきため息をつく。
そんな日が数日続いたある日のことである。
とうとう最後の一葉が落ちてしまった。
嵐の中、壁に葉を描いてくれるベールマン老人はいなかった。
嵐じゃなかったからか。
私が病気じゃなかったからか。
侵入はしたもののハルさんがおやつをねだってストーキングしたからか。
まあ実際、壁に葉の絵を描かれても困るのだが。
ところでこの話にはまだ続きがある。
「あぁ、もうだめ……。パピーマミー今までありがとう……(ガクッ)」
ハルさんをスーに仕立てて遊ぶのに飽きた頃、奇跡が起こった。
なんと美香さんからものすごい勢いで葉が生えてきたのである。
「めばえ」
「飛翔」
ようやく重い枷を外されたといった感じで、ニョキニョキと葉が生えてくる。
もはやO・ヘンリというよりジェームズ・ボンドである。トゥモロー・ネバー・ダイなのである。
最後の一葉はあれほど情感を込めて散ったというのに。
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美香さん?と思った人はMの過去日記帳をどうぞ(Y)。
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