初特攻とあって、気合入りまくりの飼い主とは正反対にチンタラチンタラしているハルさんをドッグカフェに連れて行き、おやつなどをあげて活力を注入することにしたのだった。
頼むよ、ハルさん。
このまま終わってしまっては、特攻隊長に顔向けができない。
飼い主もろとも玄界灘に身を投げるしかないぞ。
さあ!!
気合を入れなおして、再び戦場へと
そこにいたのは、柴犬のモナちゃん(♀)。
共働き夫婦の間では通称カミカミモナちゃんとして名高い柴犬である。
全盛期のマイク・タイソンを彷彿とさせるパンチスピード、ならぬヘッドスピードから繰り出される音速の噛み付き攻撃を、ホモ・サピエンスの動体視力で捕らえることは限りなく不可能に近い。
「あうっ!」
「あれ?」
手を噛まれた!と気付いたころにはもう、モナちゃんは次の標的に向かっている。
恐るべし、柴犬。
さすが、「世露死苦柴ドッグ」を名乗るだけの犬種である。
まあ、甘噛みなので全然痛くないのだが。
早速、絡まれるハルさん。
「おし、行け!ハルさん。正規軍だろうが何だろうが、気にせず特攻かましたれ!!」
「がぶっ」
「カジッ」
駄目だ・・・・・・全く歯が立たない。
音速の貴公女に対抗するには百年早かったようであるが、このモナちゃん、遊び好きの気のいい犬である。個人的なファンの一人だ。
しかし、ここまで全く見せ場をつくれていないハルさん。
「(早すぎる)引退」の二文字が脳内をすっとよぎった、その時、来た。
来ました。
生後5ヶ月のコーギー、アロハ君。
1週間前のレース後、ハルさんと遊んでくれた犬である。
その時は疲労困憊のハルさんが屈辱ポーズをとらされて完敗したわけだが、相手は何といっても、まだまだ仔犬である。
ガキんちょに二度続けて不様な敗北を喫するわけにはいかない。
ハルさんよ、リベンジの舞台は整った。
「ファイッ!!」
おお!?これは!!
おおうっ!!
キターッ!!!
これこれ、この勇姿、いいんでない!?
スピルバーグから出演オファーが来るかもよ。
うん?
何か目がラリッてきたような。
あらら・・・・・・
やっぱりこうなるんやねorz
まあ、しかし、一時はどうなることかと思ったが、これでようやく応援隊の一員としての役目は果たせたんじゃないのか、なあハルさん。
・・・・・・オヤツに夢中で聞いてねぇ。