まあ、犬の性格にも違いがあるのだろうから、色々なしつけ方があることは、飼い主にとって選択肢が増えていいことだとは思う。
あとは、飼い主の取捨選択次第ということか、と理解をして、ウチではとりあえず、叱る&褒める作戦でいくことにしたのだが、叱る方法については、不思議と万人の意見が共通しているのである。
それは「叱るときは短くビシッと言葉を発する」ということ。
人間の言葉が分からないのだから、ぐだぐだと言葉を並べても無意味だというのである。
なるほど、これは理にかなっている。
そう納得した飼い主(Y)は、ハルさんを叱り付ける時は、
「ゴルア!!」と一喝し、Mもそれに倣っていたのだが、やはり男性と女性では声のトーンが違う。
Mの場合、どうしても「コラァ」と軽い感じになってしまうのだが、そうなると、ハルさんのほうに「叱られた」というリアクションが出にくく、が本人はそれがいたく不満だったようである。
そんなMが新たなしつけ方法を生み出したのは、ハルさんが生後8ヶ月くらいの頃であった。
現在もそうだが、ハルさんは、食事の前に「サークルの中でお座りをして待つ」ことが義務付けられている
ウチに来てから、一通りのコマンドを覚えたハルさんは、大人しくお座りをして「ヨシ」の声がかかるまで、食事が目の前にあっても待機している。
まあ、飼い犬としてはスタンダードな光景であると思う。
現在のハルさん
しかし、当時、ハルさんは、反抗期を迎えていたのか、食事を用意して「お座り」と命じると、伏せをしたり、ハウスに入ったり、とにかく食事前のお座りを拒否し始めたのである。
食事以外の場面では普通に「お座り」も出来ていたのだが、食事を目の前にすると、叱り付けようがなだめすかせようが、一向にお座りをしなくなってしまった。
「待て」は出来ているし、「お座り」が出来なくなったわけではないので、私はそれほど深く考えていなかったのだが、どうもMは言うことをきかないハルさんに対して徐々に鬱憤がたまっていたようである。
そんな中、ある秋晴れの日、「それ」は発動した。
(以下伝聞)
いつものように、朝の食事を用意したMが「お座り」と言うと、サークルの中で待っていたハルさんがサークルの外にわざわざ出てからお座りをした。
「お座りしてんぢゃん。早くヨシって言ってよね」
といわんばかり(に思えた)ハルさんの不遜な態度に、Mの中にあった何かがぷっつりと切れてしまったそうな。
Mはハルさんをサークルの中に追い立てると、冷え切った声で語りだした・・・・・・。
「ちょっと、ハル。そこに座りなさい」(この時点で不穏な空気を感じたのか、ハルさんは素直にお座りしたらしい)
「なんや、あんた。ちゃんとそこでお座りできるんやないか。最初っから、そうやって素直に言うこと聞いとけば、すぐにゴハンも食べれるのに。それやのに、あんたはいっつもいっつも言うこと聞かへんから、なかなかゴハンにありつけへんのとちゃうんか。前から言おう思てたけど、あんた、最近、私をナメテんのとちゃうんか。ああ? 飼い犬の分際で、飼い主ナメとったら、メシ抜きやで。メシ抜き。アンタのメシ抜いて、いったいこの世の誰が得するっていうねん、だいたいあんたは・・・・・・くどくど・・・・・・以下略」
その間約10分。
身から出た錆とはいえ、哀れなハルさん。
ずっとお座りしたまま、身じろぎもせず、黙ってお説教を拝借していたらしい。
そして、その日以来、ハルさんはサークル内できちんとお座りをしてゴハンを待つようになりましたとさ。
めでたしめでたし。
ていうか、説教スッゲエ!
ある程度、犬との関係を築いた段階では非常に有効な手段ではなかろうか。
ちなみに、当時、すわ反抗期かと思われたハルさんであるが、この説教のせいで反抗期の芽を根こそぎ持っていかれたらしく、1歳を迎えた現在に至るまで、他に反抗期らしい行動をしたことはない。
説教最強か?
すっかり更正したハルさん